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究極のCXは「なんでも屋」 岐阜の大きいサイズ専門ECが顧客とつながり続けられる理由

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2020/04/22 07:00

 四半世紀にわたり、大きいサイズのメンズ服のD2Cを営んできたミッド・インターナショナルが語る究極のCXとは。 ※本記事は、2020年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.12』に掲載したものです。

 SNSをはじめとするテクノロジーの発達で、顧客と直接つながり続けることは以前より容易になり、そのやりかたは洗練され、企業はサービスに磨きがかけられるようになった。トレンドワードを用いるなら、それはD2Cと呼ばれるだろう。しかし、D2Cは目的ではない。つながり続けた先に、何を成し遂げたいのか。それは明確だろうか。

 SNSがない時代から、顧客と直接つながり、その悩みごとを解決することは、ECの得意分野だった。1996年、楽天市場が始まる以前から、大きいサイズのメンズアパレル商品をネットで販売していたミッド・インターナショナルは、四半世紀にわたり、それを実践してきた企業のひとつである。

 岐阜に拠点を置き、商品開発からささげ、販促や梱包までを20名程度のチームで運営するスーパー中小企業にD2Cの本質があるのではないか。EC 事業部の責任者である、伊澤由季子さんに話を聞いた。

株式会社ミッド・インターナショナル EC事業部 部長 伊澤由季子さん(写真中央)

岐阜からECで世界へ 大きいサイズのメンズ服を届ける

 大きいサイズのメンズ服の通販サイト「ミッド・インターナショナル」。同社の親会社となる株式会社マンチェスは、岐阜の重衣料メーカーとして1948年創業。2代目の社長が、大きいサイズのスーツの製造・卸売を開始、現社長である3代目からカジュアルアイテムも取り扱うようになり、ECを専業で担うミッド・インターナショナルを1996年に設立したという経緯だ。楽天の創業が1997年であるから、楽天市場よりも早く、ネット通販を始めたことになる。その先見の明により、「bigsize.co.jp」という大きいサイズのアイテムを取り扱うのであれば誰もが欲しがるドメインを保持している。

「大きいサイズのアイテムを扱うECサイトはいくつかありますが、レギュラーサイズのアイテムも取り扱っているところがほとんどです。ミッド・インターナショナルは、大きいサイズ、それも2L以上のサイズのアイテムしか取り扱っていないのが特徴です。一方で、お客様のお役に立つのが私たちのミッションですから、アパレルというジャンルには固執していません。たとえば、大きいサイズのバスタオルや雨傘、ベルトに穴を空ける道具なども扱っています」

 そんなECサイトを、どのようなメンバーで運営しているのだろうか。今回インタビューに応じてくれたEC事業部 部長の伊澤由季子さんは、2005年にバイヤーとして入社。将来的に、とくにECの分野において女性の力が必要になると考えた同社は、幹部候補として伊澤さん以外にも女性を積極的に採用した。現在、通販サイト「ミッド・インターナショナル」の運営に携わる20名ほどのうち、女性が17名という割合である。親会社の創業から岐阜に拠点を置いてきたことから、ほとんどを岐阜出身者が占めている。

「インターネットに詳しいことは、採用基準にありません。当社では決して値下げせず、プロパー価格のまま商品を売り切ることに取り組んでいます。大手モールのセールに詳しかったり、クーポン施策などで売ってきた実績があると、むしろ発想の切り替えに時間がかかってしまうかもしれません。採用の際に見ているポイントは、プラス発想、勉強好き、素直であるの3点です。ヒト・モノ・カネが限られる中小企業において、当社はヒトを重視し、知恵を使うことで戦っていくことにしています。一時的にツールを導入したり、外部の方に入っていただくことがあっても、いずれ必ず、自社で運用できるようノウハウを蓄積しています」

 地方の中小企業でECをやろうとするなら、楽天市場をはじめとするモールに出店するのが王道だ。ミッド・インターナショナルも、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの3つに出店している。

「モールへの出店はかなり後発でした。モールへの出店は、広告的な意味合いで行っているだけで、売上目標は設定していません。モールにはモールのお客様がいらっしゃるので、ミッド・インターナショナルのことを知らなくとも、モールでたまたま見つけて知っていただくことができますから。モール内でも値下げはしない方針で、セールにも参加はしていません」

 なお、海外向けには、台湾向け、中国向け、英語の独自ドメインのサイトを持っており、世界中から注文が入ると言う。

「たとえばアメリカの方は、サイズには困っていませんから、日本独特のキャラクターがプリントされたアイテムや、和柄が人気です。配送が早いので、どこからご注文いただいても1週間以内にはお届けできているのではないでしょうか」

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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連載:季刊ECzine vol.12特集「Essence of Subscription~つながり続けるための顧客体験とは~」

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