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ディスカウントのみの場ではない H&Mがロイヤリティープログラムで目指すこと

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2019/07/02 07:00

 H&Mが目指すのは、どのチャネルで購入しても顧客に同じ体験を提供すること。そのためにロイヤリティープログラムをどのように活用しているのか。そしてその成果とは。※本記事は、2019年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.09』に掲載したものです。

 世界72ヵ国で4,400店舗以上展開され、ファストファッションにおいて確固たる地位を築いているH&M。現在16ヵ国で会員向けのロイヤリティープログラムを展開しており、アジア初となった日本でも2017年の秋より開始している。そんなロイヤリティープログラムがリニューアルを行ったのは2019年4月上旬。その目的とは何なのだろうか。その先にH&Mが見据えるものとは。H&Mでメディアマネージャーとロイヤリティープログラムのマネージャーを兼任する田原さんに話を聞いた。

ヘネス・アンド・マウリッツ・ ジャパン株式会社
メディアマネージャー 兼 ロイヤリティープログラム マネージャー 田原美穂さん

指標は会員が占める割合
リニューアルでよりウェルカミングな雰囲気を

「ユーザーのことをまずは知り、そのうえで1人ひとりに合ったメッセージを伝えていくこと。今まではどれだけH&Mでショッピングを楽しんでいただいても、H&Mのことを好きになっていただいても、受けることができるサービスは同じでしたが、たくさん購入いただいているお客様には、より多くのことを還元したかったこと。それにより、H&Mとお客様の関係を構築する土台を作ること。この3つが主な目的でした」

 ロイヤリティープログラムを始めた経緯について、田原さんはこう語る。立ち上げからおよそ1年は、新規会員の獲得に注力。店舗のウィンドウでメッセージを掲出するなど、オフラインを中心とした認知拡大に取り組んだ。その際、何よりも伝えたかったことは、「ロイヤリティープログラムは割引をするためだけの場ではない」ということだ。

「このプログラムは、あくまでも長期的にお客様と関係を築いていくためのツールに過ぎないと思っています。もちろん私たちもディスカウントは実施していますが、いわゆるバーゲンハンターを増やすために行っているのではありません。そのゴールは、H&Mのことを好きになってもらうこと。それができれば、フルプライスであってもH&Mの商品を買いたいと思っていただけるはずです」

 そのためのメッセージとしてH&Mが近年発信しているのが、「Story Telling」ではなく「Story Doing」。ニューヨークで行ったファッションショーや、クリスマスキャンペーンの世界観に合ったグランピング施設へ会員を招待するなど、H&Mのブランドそのものを体験してもらうことを大切にしている。プログラム開始からおよそ1年半がたった今、そういった取り組みの甲斐あってか、「思っていたよりもかなり早く」会員を増やすことができているそうだ。

 ECや店頭には売上の目標もあるが、ロイヤリティープログラムでは売上増加のみを追いかけているわけではない。店舗で購入した人のうち、どれだけの人が会員であったか。その割合などを指標のひとつにしている。

「いくら買ってもらったかももちろん大事ですが、どれだけ既存のお客様にロイヤリティープログラムのプラットフォームを通じて楽しんでいたけるか。何度も来店したいと感じていただくためにはどうするか、という点にフォーカスしています」

 そんなH&Mのロイヤリティープログラム「H&M Club」だが、2019年4月上旬にリニューアルを実施。名称も「H&M メンバー」へと変更された。会員ページのイメージカラーも黒からピンクへと変わり、使われているイラストも、以前と比べ親しみやすさを押し出したものになっている。

「H&M Clubでは、あえて少し高級感を出していたところもあるのですが、今後H&Mが目指していく方向性は、もっとウェルカミングで、より親しみを持ってもらえること。そんな思いから、ロイヤリティープログラムのページも大きく変更していますし、ユーザビリティーもさらに上がっていると思います」

 また、特典やポイントの獲得方法もバージョンアップし、2段階のメンバーシップ制を導入。店舗やECでの買い物、自身のプロフィールを追加することでポイントを獲得することができ、300ポイントが貯まると「メンバー」から「プラスメンバー」へとレベルアップすることができる。また、そのポイントが100ポイントたまるごとに、300円の割引クーポンを自動的に発行。個人の購買行動に合わせた特典を用意している。さらにプラスメンバーは、イベントの招待や先行ショッピング、特別コレクションへの限定アクセス、送料全品無料、セール商品の追加ディスカウントなどのメリットを享受することができる。もちろん年会費は無料だ。

「会員ページでは、あと何ポイントでプラスメンバーにアップできるかを可視化するなど、より楽しく利用していただける仕様になっています。ECだけでなく、店舗で買った商品も、デジタルレシートという形でオンライン上で確認可能となる予定です。

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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連載:季刊ECzine vol.09特集「Shift to OMO ~オンとオフを融合するためのアイディア~」

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