2012年2月22日に創業し、2013年4月にコマースプラットフォームの提供から事業をスタートしたOrigamiが、サービスインから5年が経過した2018年9月に、初となるカンファレンス「Origami Conference」を行った。本カンファレンスでは、銀聯国際(Union Pay International)との資本業務提携、銀行やクレジットカードブランドとの連携拡大、新たな資金調達などのニュースが続々と発表された。その中で、多く登場したキーワードはやはり「キャッシュレス」。今やすべてのビジネスパーソンにとって、無視することができない言葉である。こと、リテール事業者は、とくにその対応が急ピッチで求められていることを感じているのではないだろうか。
Origami のような決済サービスを提供する事業者は、常にふたつの側面からキャッシュレスを考える必要がある。サービスを導入する加盟店と、実際に店舗やECサイトで決済するユーザーだ。支払いを行う接点となる加盟店にも、それを利用するユーザーにもメリットがなければ、サービスが広まることはない。淘汰されてしまう。
そんな中、「これからは、決済サービスをうまく活用することで、リテール事業者の方やエンドユーザーの皆さんがメリットを享受できるようになっていくと思います」と語るのは、Origamiで加盟店とエンドユーザー、それぞれに向けたマーケティングを統括する古見幸生さんだ。
リテール事業者やエンドユーザーは、キャッシュレス化の機運の高まりをどのようにとらえ活用していけばいいのか。Origamiが描く決済の未来とは。古見さんに話を聞いた。
インフラの役割からマーケティングツールへ
スマホ決済がもたらす変化とは
Origami Payは、2015年10月にOrigamiが提供を開始した、二次元コードを利用したスマホ決済サービスである。この分野においては、古株とも言えるだろう。銀行口座やクレジットカードを事前に登録し、店舗が用意した端末に表示される二次元コードをユーザーのスマホアプリで読み込むことで決済が完了する。
2017年10月からは端末ではなく、二次元コードを印刷したものを店頭に提示することで決済を行うことも可能になった。またOrigami Payでは、ユーザー側が二次元コードを提示する方式にも対応している。そもそもスマホ決済を店舗が導入するメリットについて、古見さんはどう考えているのだろうか。
「ECやオンラインの世界では、たとえばGoogleアナリティクスのような分析ツールを使って顧客のデータを把握することは比較的容易になりました。ですが、実店舗で同じように顧客のトラッキングを行おうとすると、店舗にジオゲートを設置するなど莫大な工数と費用がかかることも多いので、なかなか手を出すことができないケースがほとんどでした。つまり、オンラインでは当たり前だったことが、オフラインではできていなかった。ですがインターネットを使ったスマホ決済では、個人が特定されるわけではないけれど、どんな人が決済に至り、そのうち何人が1ヵ月以内にリピートしているかといったお客様の情報を、オンラインと同じように実店舗でも把握できるようになる。まず、今まで知ることができなかった実店舗でのお客様の行動がわかるというのは、スマホ決済の素晴らしいところだと思います」