日本オラクルとアシストは、京王百貨店が、同社が推進するデジタル・トランスフォーメーション(DX)視点のレガシーシステム・モダナイゼーションにおいて、全社的な戦略的情報活用基盤の刷新に「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」を導入したことを発表。
「Oracle Autonomous Data Warehouse」上に、全社員が利用する顧客情報や販売情報などのさまざまなデータをシームレスに取り込める統合情報基盤「Keio Department Store Data Lake(KDSDL)」を構築することで、リアルタイムなデータ活用を促進し、ユーザーの変化や多様性に迅速に対応するデータドリブンな業務変革に貢献する。
京王百貨店は、京王グループのリテール領域を担う中核企業であり、6つのサテライト店舗を含む8店舗の実店舗、京王ネット・ショッピングでのオンライン・ショッピングの運営を行っている。2018年より全社的なDX視点のIT戦略を推進しており、基幹老朽化への対応、レギュレーションへの対応、環境変化への対応を主軸にレガシーシステム脱却を図っている。また、データドリブンな顧客接点のデジタル化に向け、戦略的情報活用基盤の刷新にも取り組んでおり、百貨店および関連サービスの運営を支える商品管理、販売管理などの情報管理を担う基幹システムおよびデータ分析基盤の集約を行っている。従来のシステムでは、テンプレートの制約により項目変更、分析範囲、更新のタイミングなどさまざまな利用制限があり、データの増加による性能劣化のチューニングやバックアップなどの運用負荷増大の課題もあった。
そこで京王百貨店は、2019年10⽉にデータソースとなるERPの刷新を⾏った際に、「Oracle Autonomous Data Warehouse 」をエンタープライズ・ウェアハウスと位置づけ、「OCI 」上に移⾏した既存のBIツールを連携した「KDSDL」の稼働を開始。これにより、数千万件におよぶ⼤量のデータを数秒で処理できる⾼速な集計、応答性能を低コストで実現している。
また「Oracle AutonomousDataWarehouse」では、⾃律機能により管理や拡張、監視、チューニング、バックアップがすべて⾃動化されているため、 データの増加にもデータベース管理者によるチューニングが不要で、常に最適なデータベース性能を維持しながら、システム管理者の負担を⼤幅に軽減している。さらに、店頭POSからのすべての取引明細データをリアルタイムに受信し、店舗や売場といった管理レベルの集計をほぼリアルタイムなものとし、店舗におけるタイムリーな情報把握を実現している。
今回の戦略的情報活⽤基盤の刷新では、Oracle PartnerNetwork (OPN)パートナーであるアシストが提供する「Oracle Cloud環境構築⽀援サービス」、オラクルのコンサルティング部⾨が提供する「Rapid Start Service for Autonomous Data Warehouse Cloud 」を組み合わせ、約1カ⽉での短期構築および導⼊展開を実現。役割は、アシストが、クラウド環境設計、構築、「Oracle Cloud Infrastructure FastConnect」の専⽤線接続およびクラウド環境運⽤の⽀援を、オラクルのコンサルティング部⾨が既存のBIツールと 「Oracle AutonomousDataWarehouse」の連携、データ移⾏を実現した。
⼀連の実績を踏まえ、京王百貨店ではネット受注の配送連携強化を図るため、次にお中元やお歳暮時の店頭ギフト受注を⼀元管理する ギフト配送システムを新たにギフトシステムと配送システムに分離したシステムに刷新し、「OCI 」上の「Oracle Database Cloud Service」で稼働。それらのデータは全社員が利⽤可能な「Oracle Autonomous Data Warehouse 」上の「KDSDL 」に集積され、ネット受注の配送統合や、バイヤーによるギフト購⼊のトレンド分析、⼈気商品の在庫切れの予防への活⽤など、商戦機会の最⼤化に活⽤されている。
京王百貨店では、今後さらに多様な外部データと合わせた市場動向の変移把握や予測分析に加え、「OCI 」で提供されるクラウド・ネイティブのサービスを活⽤したアジャイルな開発を推進し、DXを加速していく考え。