NTTドコモ(以下、ドコモ)は、流通小売業におけるバリューチェーン全体のマーケティングをサポートする「ドコモリテールDXプログラム」の提供を開始した。
同プログラムは、同社が保有するdポイントクラブ会員の属性情報や位置情報などの各種データ(以下、ドコモデータ)と、d払い/dポイント加盟店である流通小売企業が保有するID-POSデータ(購買情報)をユーザーから同意を得ている範囲で組み合わせ、ドコモの独自AIエンジン「docomo SenseTM」を活用して統計化。これにより、集客支援や店舗仕入れの最適化など、流通小売企業それぞれに最適なソリューションを組み合わせ、バリューチェーン全体の課題解決をサポートするもの。商圏および顧客の可視化・分析を行うダッシュボードや、ドコモの子会社であるDearOneが提供する流通小売企業の会員アプリ開発サービス「ModuleApps2.0」、アプリを活用した広告配信サービスにより広告収入を得られる「ARUTANA」なども併せて提供が可能だという。
これらについて、インテージホールディングス(以下、インテージ)のデータ分析・インサイト導出力や、フェズの知見を活かし、集客支援や店舗ごとの商品仕入の最適化などのマーケティング活動を実行支援する。
リテールDXダッシュボード
ドコモデータと「docomo Sense」を活用し、統計情報のかたちで、商圏および顧客の可視化や、顧客のプロフィール・ライフスタイル・ライフステージごとでの様々な分析が可能なダッシュボードを提供。効果的な集客・販促施策、新規出店候補地のポテンシャル分析など流通小売企業のマーケティングに活用可能となっている。
さらに、流通小売企業が保有するID-POSデータ(購買情報)とドコモデータをユーザーから同意を得ている範囲で連携することにより、商品・カテゴリ別の売上分析、商品軸での顧客分析、販促施策の効果検証など店舗運営に必要なデータ分析をワンストップで提供する。
流通小売企業の会員アプリ向け広告配信サービスによる収益化支援
DearOneが提供開始した「ARUTANA」は、メーカー企業などが、流通小売企業が提供する会員向けアプリ面に対して、横断的に広告を配信できるサービス。PoC(Proof of concept/試作開発に入る前段階の検証プロセス)では高い効果が確認できており、サービス提供開始時点では、すでに13社、9,276店舗、1,427万MAUのユーザーに対して広告が配信可能となっている。
広告配信ネットワーク拡大のため、ModuleApps2.0導入企業のアプリに「ARUTANA」モジュールを標準搭載することに加えて、外部アプリ向けにSDK(各流通小売企業の持つアプリと「ARUTANA」を接続するために必要なツールのセット)を提供している。
流通小売企業1社のアプリだけではリーチ力が限られる場合でも、「ARUTANA」に参画することでDearOneが各流通小売企業のアプリを束ね、消費者がアプリを開くことの多い店頭など、購買検討タイミングでの広告配信を行うことが可能となる。
また、流通小売企業へは、広告主であるメーカー企業などからの広告収入の一部が還元される仕組みとなっており、流通小売企業の新たな収益機会の創出に貢献するとしている。
リテールDX実行支援サービス
商品情報データベースおよび小売店パネルなどを通じて、マーケティング支援事業を提供しているインテージ、およびID-POSデータをはじめとするリテールデータを活用してリテールDX支援を推進するフェズとの業務提携を通じて、流通小売企業に対して、バリューチェーン全体の最適化を支援するワンストップの実行支援サービスを提供する。
インテージとの取り組みでは、ドコモが保有するdポイント会員のデータを連携してインテージのデータ分析力で価値化することで、流通小売企業が抱えるさまざまな課題に対して、課題解決のためのインサイトの導出から、分析・マーチャンダイジング・店舗オペレーション・広告・販促を通じ、収益化を実現するトータル事業支援サービスの提供を目指す。
さらに、フェズの知見を活用し、流通小売企業の課題解決に向けた、ドコモのdポイント会員データと流通小売企業データとのより効果的な連携手法の開発と、企画力・実施力の強化を実現する。
なお、ドコモはフェズと、業務提携契約を2023年9月26日に締結。これに関連して、ドコモの子会社であるNTTドコモ・ベンチャーズは、同社が運用するファンドを通して、フェズへの出資を行っている。