電通は、これまで短期的な効果測定が主であったデジタル広告の“中長期効果”をリアルタイムで評価することができる新指標「ナーチャリングスコア」を開発し、提供を開始した。同社が構築した予測モデルによって、デジタル広告の事業成果に対する貢献度を中長期で評価し、デジタル広告予算を中心としたコミュニケーションを最適化する。
現在のデジタルマーケティングでは、広告がクリックされた後7日間程度のCV(Conversion:サイト来訪者数、申し込み数など)をCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)で評価する手法が一般的である。一方で、検討期間の長い商材や、ブランディング、エンゲージメントの強化を目的としたマーケティング活動においては、未来の顧客を中長期で開拓・育成していく「ナーチャリング」が重視されつつあり、デジタル広告の効果を中長期で評価する指標が必要となっている。
そこで同社では、データクリーンルームの大規模な顧客基盤に基づく、広告接触履歴や興味関心の属性などから、申し込みや購入に至る確率を推定する予測モデルを機械学習によって構築。このモデルによって計算された新規ユーザーの申し込み確率が広告の中長期効果を示す新指標「ナーチャリングスコア」だという。
2016年からデータクリーンルームを利用し蓄積してきた知見をベースに、2022年より同スコアの研究開発を開始し、今回、複数のデータクリーンルームで実用レベルのモデルの作成に成功した。
予測モデルは過去のデータに基づいて計算されたものだが、これを現在のデータに適用することで、これまでは測定しづらかった将来の申し込み確率を現時点で推測できるように。たとえば過去半年間のデータに基づいて学習されたモデルを作成し、今日広告を配信したユーザーのスコアをモデルに基づいて計算することで、向こう半年の申し込み確率をリアルタイムに評価し、広告の予算配分や入札調整といった日々の運用の意思決定に活用することが可能となっている。
「ナーチャリングスコア」は、同社が提供するさまざまなデータクリーンルーム活用ソリューションのうち、測定・評価に関するカテゴリー「TOBIRAS Measurement」のプロダクトのひとつで、システム基盤「TOBIRAS」と連携することでスピーディな運用を実現。同社は今後も、ナーチャリングスコアが利用可能なデータクリーンルームの拡大を進めるとしている。