メルカリは、同社取締役会において、物流サービスの企画・開発・運営を行うことを目的に、メルカリの100%子会社としてメルロジを設立。同子会社にて新規事業を開始することを決議したことを発表した。
メルカリグループでは、個人が簡易かつ安心・安全にモノの売買が可能なマーケットプレイスを目指し、2013年7月からフリマアプリ「メルカリ」の提供を開始。アプリ内の機能改善やオフラインでの顧客体験向上を追求することで、利用者数を拡大し、さらなる成長を目指している。
一方で、「メルカリ」の流通取引総額の拡大にともない、日本全体の年間宅配便取扱個数50億個のうち5%から10%を「メルカリ」の荷物が占めるほか、コンビニ発送のうち約80%が「メルカリ」の出品物の発送になるなど、日本全体の物流における「メルカリ」の取扱量は拡大の一途をたどっている。これにともない、郵便局やコンビニエンスストアなどにおける発送・集荷時のオペレーション負荷も高まっており、同社では2020年より対面の接客なしに商品の発送ができる「メルカリポスト」を全国約1,000ヵ所に設置するなど、パートナーと連携しながら、オフラインのタッチポイントの拡充や発送・集荷の効率化施策に取り組んできた。
今回設立した新会社では、同社が保有する発送取扱量および、「メルカリポスト」や「メルカリ」を“体験しながら学べる”リアル店舗「メルカリステーション」(全国11ヵ所)をはじめとした自社のタッチポイントを基盤に、同社が持つデータとテクノロジーを活用した効率的な集荷物流網を構築することで、顧客体験をさらに向上させるサービス(梱包レス発送など)を提供している。
さらに、同集荷物流網において、繰り返しリユースすることを前提とした梱包発送資材の導入を検討するなど、配送過程で発生する環境負荷への対応にも取り組んでいくことにより、同社が目指している「限られた資源が大切に使われる循環型社会の実現」にも寄与するものと考える。
メルロジの取り組む事業領域
新会社は、自社のタッチポイントを基盤にデータとテクノロジーを活用した新たな集荷物流網を構築していく(パートナーとの連携による、トラック・倉庫などの自社アセットを持たないかたちでの展開)。
具体的には、同社が持つ月間利用者2,000万人の取引データをもとに、より荷量が多い場所を特定し、集荷の精度を上げることで、効率的な集荷物流網を構築していく。
新会社では、これらの集荷物流網を通じ、売れた商品を持ち込むだけで発送が完了する梱包レス発送や、発送前の商品のクリーニング、リペアといった付加価値サービスを提供することにより、ユーザー体験をさらに向上させていく考え。
今後の展開
今後新会社では、「メルカリポスト」を2024年までに全国8,000ヵ所に拡大し、集荷効率の最大化、梱包レス発送などの付加価値サービスによるユーザー体験の向上を目指す。さらに、中長期的にはメルカリグループ内の物流領域のさらなる効率化や自社集荷物流網の開放にも取り組んでいく。
具体的には、グループ会社のソウゾウが展開するEコマースプラットフォーム「メルカリShops」の出店者向けに、出品・梱包・発送代行を担うサービスを提供し、メルカリグループのほかの事業とのシナジー創出を目指すほか、メルカリグループ内にとどまらず、メルロジの集荷物流網を広く開放し、「メルカリポスト」を活用した他社ECの商品返品などの発送対応や、メルカリグループ以外のサービスを使ったネットショップ出店者にも、保管・発送サービスの提供を行っていくとのこと。