季刊ECzineを購読している皆様、はじめまして。株式会社grams 代表取締役の艸谷真由です。私はアパレル販売員として働いた後にInstagram活用を開始。10ヵ月でフォロワー1万人を達成した経験を活かして、現在は商業施設やさまざまな企業・ブランドのマーケティング支援、コンテンツ企画を手掛けています。これまでの経験から、季刊ECzineの読者に向けてInstagramやSNSを活用したデジタル接客の重要性やこれから取り掛かるべきことを1年間にわたってお伝えできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
気軽にできるからこそ考えたい顧客の存在
初回のテーマは、「押さえておきたいデジタル接客の基本のき」です。これまでの接客は、「来店されたお客様に対して、その人に合った提案をする」という受けの構図が中心でした。人気ブランドや来客数の多い百貨店であれば、お客様のほうから来てくださるため、販売員自身が集客を考える必要はなかったのです。
しかし、EC利用者の増加、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大を機に実店舗への来客数が減少している今、集客力と立地の関係性はほぼなくなりました。お客様の対応で大忙しだった実店舗も突然空白の時間ができてしまい、どう動けばいいかわからない……。そんな販売員の方も多いのではないかと思います。
しかし、実店舗に足を運ばなくなっても新しい洋服が欲しくなることはあるでしょう。ここでご想像いただきたいのですが、お客様は来店せずにどうやってお目当ての洋服を探すのでしょうか?
「デジタル接客」は、お客様が目の前にいなくてもスマートフォンやパソコンを通して、商品のお勧めができる手段のひとつです。実店舗に足を運ばずとも、自宅でショッピングが楽しめるテレビショッピングは以前から存在しますが、今やテレビを介さなくてもSNSさえ登録していれば、誰もが手軽にテレビショッピングのような販売手法を取り入れることができるようになりました。
ところが、誰でもこの手段を活用できるようになったとはいえ、結局は見てくれる相手がいなくては始まりません。今、この記事をお読みいただいているあなたのブランドや実店舗でいざデジタル接客を行おうとした際に、視聴してくださる「お客様」はいらっしゃるのでしょうか?まずは、自社の現状を客観的に振り返るところから始めてみましょう。