販売と販促が融合するSNS 店舗を増やす感覚で各所に注力を
SNS活用が大きく進んだこの1年、各プラットフォーマーも新しい生活様式に対応した機能追加を積極的に進めている。
「Instagramでは、『ARショッピング機能』のテストを実施しています。同機能により、たとえば家具などサイズの大きなものを購入検討する際に、部屋の中でのサイズ感をシミュレーションすることが可能です。2014年にFacebookがOculusを買収してから7年経ち、ようやくサービス内に技術が反映されてきたと言えるでしょう」
こうした最新鋭の技術をいち企業・ブランドが独自で開発することは、現実的には難しい。しかし、多くの企業・ブランドやユーザーが集まるSNSプラットフォーム上に実装されることで、企業規模に限らずアイディアで飛躍できる可能性が広がるとも考えられる。
「最新鋭の技術を無料で導入できるのであれば、気後れせず積極的に活用することをお勧めします。自社の力だけではできなかった新たなコミュニケーションで、顧客の購買体験を豊かにすることができます」
TikTokも購買促進機能の充実を進めると、「TikTok For Business Year-End Event 2020」にて発表している。トレンドメーカーとしての自信をこの1年で高めたTikTokは、「TikTok For Business」の2021年のブランドメッセージを「興味との出会いが購買につながるプラットフォーム」とし、既存のマーケティングファネルを飛び越え、潜在顧客も含め攻略できる場を目指すとのこと。
「TikTokは、EC機能の強化に取り組むと公表しています。AR活用や画面上にクリッカブルなタイルバナーを表出させる機能、ダイレクトに商品のランディングページへと遷移できる機能や、複数の静止画から動画広告を自動生成する機能などを実装予定とのことです」
TikTokにおけるライブコマース活用にも注目が集まる。2020年12月18日には、ウォルマートがアメリカ初のショッピング対応ライブ配信を行い、1時間で約1万人が視聴する結果となった。各SNSに類似機能が出揃う中、これからの時代は「どこで誰とつながりたいかを考えた上で現状と向き合い、投稿や施策を実施していくことが大切」と藤田さんは語る。
「2010年代後半に企業・ブランドのSNS活用が進みましたが、当時は販売のチャネルであるECと販促のチャネルであるSNSが別々に存在する状態でした。しかし、2020年代に入り、双方の境目がなくなりつつあります。実店舗で複数店舗出店するのと同様に、ウェブ上で店舗数を増やす感覚でそれぞれのプラットフォームにファンをつけていくようにしましょう」