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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2020 Autumn レポート(AD)

アパレルのCVR向上・返品率低減に貢献 情報感度の高い顧客を動かすOMOを考える

 サンエー・ビーディー、ジュングループ、ベイクルーズ、ビームス、アーバンリサーチなど、数多くのアパレル企業で導入されている「ZETA CXシリーズ」。同製品を提供するZETA株式会社の代表取締役社長 山﨑徳之氏が、2020年10月6日に開催された「ECzine Day 2020 Autumn」に登壇。ファッションECの取り組み経験が豊富なZETAだからこそわかる業界の傾向と、効果的な施策を紹介した。

デジタル投資は活発でもオフラインが必要とされるアパレル業界

ZETA株式会社 代表取締役社長 山﨑徳之氏

 アパレル業界において、圧倒的な導入実績を誇るZETAの製品。その理由はどこにあるのだろうか。山﨑氏は、「情報感度が高いカスタマーの多さ」に注目してこう解説した。

「当社の製品を導入してくださるアパレル企業は、若くて情報感度の高い女性がメインターゲットであることが多いです。そのため、デジタルへの取り組みが遅れていると『イケていない』という印象を与えてしまい、顧客離れを引き起こしてしまう可能性があります。とくに若年層向けのアパレル企業は、デジタルへの取り組みを推進しなければ立ち行かなくなってしまうということも考えられます」(山﨑氏)

 アパレル業界がテック市場をいかにけん引しているかは、データからも読み取ることが可能だ。

 アパレルは、コンテンツのデジタル配信が可能なエンターテインメント業界などと異なり、デジタルだけでは完結し得ない業界であると言える。オンラインで購入を行うことができても、商品は必ず物流というオフラインのステップを経てカスタマーの手元に届く。実店舗スタッフとのコミュニケーションや店頭での試着も重要な顧客体験(CX)であり、デジタルへの取り組みが進むと同時に、オフラインの重要性がいつまでも損なわれない点がアパレル業界の特徴だ。

 時代の流れに合わせ、うまくリアルとデジタルの要素を取り込んだ一例に、ポップアップストアがある。実店舗に在庫を置かず、商品体験の場としてカスタマーに足を運んでもらうこうした取り組みは欧米で主流となり、日本でも後追いする形で増えている。

「『オンライン vs オフライン』『EC vs 実店舗』といった対比構造で語られることがありますが、この考えかたは適切ではありません。実店舗は場所であり、デジタルは情報の流通経路です。現状、業界の慣習や予算の都合など、非本質的な理由で2者が分断されてしまうことがありますが、今後はこうした流れも変わっていくはずです」(山﨑氏)

ハッピーなカスタマーは最高のマーケター 店頭でスマートフォンを活用する意義

 iPhoneの登場を機にスマートフォンが世に普及し、今や実店舗にいながらスマートフォンを使って情報収集するという行為は、当たり前のように行われている。顧客にとっては、その場でより多くの情報を得ることができるため利便性が向上したと言えるが、実店舗側から見ると店頭が商品を吟味する場として活用されてしまい、手に取った商品を他社のECサイトなどで購入されてしまうといった機会損失が起きていることも事実だ。

「スマートフォンの普及による影響には善し悪しがありますが、顧客が店頭でスマートフォンを使うことを止めることはもはや困難です。大事なのは、企業が顧客の店頭でのスマートフォン活用を推進し、満足のいく体験提供に協力することと言えます」(山﨑氏)

 そのための取り組みが、口コミの表出やコーディネート提案だ。スマートフォンでほかの顧客の意見や試着例を見れば、「これなら自分の大事なお金を払って買っても満足できそうだ」という納得感を持って購入してもらうことができる。

 実店舗における顧客のスマートフォン利用は、顧客体験向上に限らず、スタッフ満足度の向上という副次的な効果ももたらすと山﨑氏は語る。顧客のスマートフォンを通じて、スタッフのアクションがトラッキングされることにより、自身の成果をマネージャーや組織から正確に評価してもらえるからだ。向上心の強いスタッフがこれまで以上に熱心に接客と向き合うようになるなど良い影響が見込めることから、顧客のスマートフォン利用をはじめとするOMOには、積極的に取り組む価値があると言える。

 今後、X世代、Y世代、Z世代と呼ばれるデジタルネイティブ層が増えていくにつれ、企業と顧客の向き合いかたが変貌することは避けられない。情報収集を熱心に行い、必要なものだけを所有し、体験への投資に積極的で、かつ自分が情報発信者になることをいとわない若年層のカスタマーは、レビューや口コミを非常に重視する傾向があると山﨑氏は話す。

「ハッピーなカスタマーは、最高のマーケターです。商品を良いと思ってもらうためには、ほかのカスタマーが幸せな買い物をして『良かったです』と言うのがもっとも効果的でしょう。レビューのみを扱うメディアは今のところ存在しませんが、YouTubeやInstagramなどのSNSを通じて、カスタマーが発信する情報はどんどん増えています。Amazonがここまで躍進した理由のひとつにも、初期からレビューを重視していたことが挙げられます」(山﨑氏)

 現行の多くのレビューシステムは総合評価が主流で、どのような年代・性別のレビュアーが評価したか、どの項目が評価されているかなど、レビューの細かな提示に取り組んでいる企業はまだ少ない。同一商品へのレビューでも、40代の男性と10代の女性では評価のポイントが異なるのは当然だ。山﨑氏は「今後レビューの仕組みが整備され、情報量が爆発的に増えていくのでは」と予想する。

CVR2倍、返品率減少にも レビュー×OMOで効果を最大化

 セッションの後半は、ZETAが提供するレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」をはじめとする製品の事例が紹介された。レディースアパレルブランドを多数展開するサンエー・ビーディーでは、パソコンとスマートフォンのサイトに同エンジンを導入した結果、レビューが多いアイテムのスマートフォンサイトにおけるCVRが180~250%にまで向上した。さらには、返品率減少という効果にも期待が寄せられている。レビュアーの身長や着用サイズを表示することで、レビューの精度が上がったこともこれらの効果につながったと山﨑氏は分析した。

「レビューとOMOは、非常に相性が良いと言えます。買い物に慎重で情報収集を欠かさない若年層のカスタマーが店頭でスマートフォンを使って見たい情報は口コミです。たとえば『この商品のレビューはこちら』と書かれたタグが店頭の商品についていれば、シームレスに自社のECサイトへ誘導することができます。レビューの注目度は年々上昇していますが、OMOソリューションとレビューエンジンは組み合わせてこそ効果が高まる施策なので、ぜひセットで活用していただきたいです」(山﨑氏)

 ZETAのOMOソリューションである「ZETA CLICK」は、実店舗におけるECサイトやレビューの活用を促す製品だ。実店舗やカタログに掲示された二次元コードから最適な情報をダイレクトに表示させることができる。通常、二次元コードは製品ページやECサイトのトップページなど、あらかじめ設定されたURLが埋め込まれているものだが、ZETA CLICKの場合は表示させるページを後から自由に設定できる点に最大の特徴がある。「在庫があればAの商品を表示させるが、なければ異なる商品を表示させる」「口コミが多く投稿されている商品は、レビューページを表示させる」などのルールに則ったページ表示のほか、過去の購買履歴に基づいてパーソナライズされたレコメンド製品群を表示させることも可能だ。

 同ソリューションでは、実店舗で接客した商品のバーコードをスタッフがその場でスキャンし、パーソナライズされた特別ページを作成して二次元コードで顧客に共有することができる。二次元コードを読み取った顧客は、商品のレビューページやスタッフコーディネートをじっくり参照しながら気に入った商品をECサイトで購買することができ、顧客体験の向上に貢献するソリューションだ。

「ZETA CLICKの利用イメージを通して、顧客体験が実店舗退店後も自宅やカフェなどの外部でシームレスに続いていることを理解していただきたいです。店頭でスタッフから接客を受けることで商品に対する理解や共感度は上がりますが、それだけではなかなか購買に踏み切れないという顧客もいます。これまでは再来店や追加の情報収集を顧客の自発性に委ねるしかありませんでしたが、ZETA CLICKの仕組みを使えばカスタマーごとにパーソナライズされた精度の高い情報で購入を後押しすることができます」(山﨑氏)

 前出したソリューションを含む「ZETA CXシリーズ」は、主力製品のEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を中心に、多くの企業で導入されている。2019年の調査によると、ZETA SEARCHが導入されたECサイトにおける検索総クエリ数は、確認できているだけで年間838億にも上り、膨大なデータを処理していることがわかる。(ZETA SEARCHの「こだわり検索機能」についての記事はこちら

 膨大なのは、データのボリュームだけではない。ZETA CXシリーズが導入されたサイトの総流通額は約2兆円に上り、日本のECサイト総流通額の10%以上を支えている計算だ。2017年に発表されたEC売上高ランキング上位100社のうち、ZETAの製品を導入する企業は25社となっている。高機能、高価格な製品群ゆえに大手企業への導入が目立つが、中でもデジタル投資に積極的なアパレル業界で高い導入率を誇るのが同シリーズの特徴だ。CVRや売上高の向上など確かな結果にもつながっており、シリーズの導入継続率が98%と高いことも実力の証と言える。

 New normalの時代を迎え、EC経由の売上増がますます予想される今後、実店舗とECを対立構造でとらえるのではなく、ECの売上を実店舗でも発生させることが非常に重要だと山﨑氏は強調する。

「顧客は店頭で商品に触れ、スタッフとコミュニケーションを取り、顧客体験を重ねて満足すれば購買に至ります。これまでは実店舗の棚から商品を取ってレジに向かい、支払を済ませるパターンのみでしたが、今はスマートフォンを使って購入した商品を自宅に配送するという選択肢も加わりました。店頭で手に取った商品を他社サイトで購入するのはショールーミングの悪い例ですが、これからは良い意味でのショールーミングを展開していく必要があります。実店舗とECサイトをシームレスにし、体験の場としての店舗から購入の場としてのECサイトにうまく誘導を行わなければ、企業はカスタマーに見放されてしまうため注意が必要です」(山﨑氏)

 山﨑氏は最後に、「レビューやOMOの取り組みを支援する製品を通し、顧客が幸せに買い物をできる世界を構築したい」と語り、セッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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