まずは身近なファンから取り込もう 飲食店事業者が今オンラインですべきこと
同ウェビナーは、新型コロナウイルス感染症の拡大により、通常営業が困難となっている飲食業界を支援する「飲食店支援事業」のひとつとしてShopify Japanが開催したもの。ミウラタクヤ商店オーナー/Shopifyストア立ち上げコンサルタントの三浦氏も、同感染症の影響を受ける仲間の実情を目の当たりにして、「仲間の飲食店のためにできることはないか」と考え、ウェビナー登壇を決めたと言う。
ウェブ広告業界での経験から「自身でECサイトを運営してみたい」と考え、EC業界に転身した三浦氏は、2016年に「ミウラタクヤ商店」をオープン。自らの体験から自信を持って勧めることができる健康食品「バターコーヒー」を主軸にビジネスを展開している。2019年2月から同サイトをShopifyに移行し、15ヵ月で400%の売上成長を記録。現在はそのスキルを活かし、国内第1号のShopify認定教育パートナーとして、健康食品やヘアケアブランド、にんにく農家などへのShopifyアプリ活用コンサルなども手掛けている。
そんな三浦氏が、まずEC運営者の視点から飲食店の事業者に向け、6つの提案を行った。
上記の根本的な考えかたについて、三浦氏は以下のように述べた。
「『オンラインで販売を始めると、全国の人が顧客になる』と考える方が多いですが、初めからすべての顧客に向けた展開を行うのは非効率的です。オンライン販売を始めたからと言って、すべての顧客を狙う必要はありません。まずは目の前にいるファンに十分な提案ができているかを考えましょう」
三浦氏が指す「ファン」とは、常連客に限らない。TwitterやFacebook、Instagramなどすでに活用しているSNSアカウントのフォロワー、実店舗の前を歩く歩行者や近所の人、そして友人も広義でとらえると立派なファンとなる。
「飲食店は、オンラインのみで販売を行う事業者よりも『実店舗』というリアルの接点を持つ時点で圧倒的に有利です。たとえば、店舗の前に『オンラインショップ始めました』と張り紙をしたりチラシを置いたりするだけで、オンライン上では出会えない顧客に知ってもらえる可能性があります。ECサイトやSNSへ容易に遷移できる二次元コードをチラシに掲載すれば、より効果を上げることが可能です。もしオンライン販売開始の旨を実店舗で訴求していない場合は、今すぐに取り掛かりましょう」
ここで三浦氏は、ピラミッド図を用いて顧客の分布と受注確度の関連性について言及。「ピラミッドの上位にいる顧客は、人数としては少なくとも適切なアプローチを行えば、着実に受注確度を高めることができる」と述べた。幅広い層に手当たり次第にアプローチするよりも、すでに自店の存在を認知している顧客に対して提案を行ったほうが振り向いてもらいやすく、効率的に売上を獲得することができる。
「まずは身近な人への提案を行いましょう。自分やお店のことを知ってくれている人に自信を持って商品を勧められるかどうか。これも、飲食店のECサイト成功の明暗を分けます。また、すでに情報発信を何度も行っている方も、根気良く発信し続けましょう。今は情報が溢れる時代です。自分が一度投稿を見て、内容をどこまで事細かに覚えているか思い返してみてください。何度も発信して、やっと伝えたかった内容が相手に届くと言っても過言ではないでしょう。出歩かなくとも行える訴求は、積極的に行うことをおすすめします」