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EC担当者が優先的に取り組むべきMARTECH鉄板施策とは? 施策の内容と効果を紹介

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2019/11/07 07:00

 ここ数年でマーケティングテクノロジー(MARTECH)の市場は急速に拡大し、ツールやサービスも爆発的に増えている。MARTECHを活用して売上向上やCX改善などの成果をあげるECサイトも増えてきた一方で、選択肢が多すぎて「何から取り組むべきかわからない」「時間も人手も足りない」といった悩みを抱えるEC担当者も多い。2019年10月3日に開催された「ECzine Day 2019 Autumn」では、ナビプラス株式会社 執行役員 CTO サービス統括部部長の梅染充男氏が優先的に取り組むべき“鉄板施策”について解説した。

MARTECHを活用して優先的に取り組むべきことは? ナビプラスの現場社員が選ぶ“鉄板施策”を紹介

ナビプラス株式会社 執行役員 CTO サービス統括部部長 梅染充男氏

 ECサイトの売上向上やCX改善のために、優先的に取り組むべき施策とは何か? 梅染氏は、ナビプラスとしての“鉄板施策”をピックアップするために、同社のマーケターやセールス、コンサルタントなど6職種の現場社員15名を対象にアンケートを実施した。その内容は、ナビプラスの専門領域である4つのマーケティングテクノロジーカテゴリ「サイト内検索」「レコメンドエンジン」「商品レビュー」「ターゲティングメール」において、それぞれ最初に確認すべきポイントや鉄板施策を“宣伝なしで”5つ挙げるというものだ。本セッションでは、このアンケート結果に基づいて各カテゴリのベスト3施策が紹介された。

 まずは、「サイト内検索」の鉄板施策について。サイト内検索のカテゴリで15人中10人が重要と選んだのが、「0件ヒット対策」だ。0件ヒットとは、ユーザーが商品を検索したときに、検索結果が0件になってしまう現象。求めていた商品が見つからないとユーザーは落胆し、離脱につながりやすい。

「実際はその商品がサイト内にあるにもかかわらず、0件ヒットとなる(ヒットしない)ケースもあり、大きな機会損失となってしまいます」(梅染氏)

 0件ヒット対策の方法はさまざまだが、特に重要なものとして梅染氏は「類義語登録」を挙げた。たとえば、「ホテル」の類義語として「宿」や「旅館」を登録しておけば、ホテルと検索した際にすべてヒットするようになり、0件ヒットのリスクを低減できる。

 次に重要とされたのが「検索の妥当性チェック」だ。これは、15人中9人が重要と回答している。検索結果の妥当性を評価する指標としては、「正確性(精度)」と「網羅性」のふたつがある。検索された商品のなかにどれだけ正解商品(検索結果として本来ヒットすべき商品)があるかを示すのが正確性で、すべての正解商品のうち、どれだけ検索結果としてヒットしたのかを示すのが網羅性だ。

 いずれも高いほうが良いのだが、正確性を極端に上げるとヒット数が大幅に減り(0件ヒットも含む)、機会損失に陥りやすい。一方、網羅性を極端に上げると、関係のない商品も大量にヒットして、ゴミ(ノイズ)の割合が増えてしまう。

 そのため、「検索結果を見ながら妥当性を確認し、地道に正確性と網羅性を高めていくことが重要だ」と梅染氏は指摘する。

「費用対効果を考えると、検索上位のキーワードから妥当性をチェックし、そのファーストビューを改善していくのがよいでしょう」(梅染氏)

 3つめに挙げたのは、15人中7人が重要と回答した「検索応答スピード」。これは、検索自体のスピードはもちろん、検索結果から該当商品ページが表示されるまでを含んだトータルの時間が重要だ。つまり、サイトそのものの表示速度が問われることになる。

「ごく当たり前のことと思われるかもしれませんが、特にモバイル向けの表示が遅いサイトは現在も多く見受けられます。スマートフォン用のページを一度見直して、もし遅いようなら少し軽くなるように改善するだけでも効果が期待できると思います」(梅染氏)

レコメンドやパーソナライゼーションの鉄板施策 実施による効果も紹介

 レコメンドエンジン領域における鉄板施策としてまず挙げられたのは、「商品詳細ページの閲覧行動ベースレコメンド」。これは15人中9人が重要と答えている。ECサイトの商品詳細ページに「この商品を見た人はこんな商品にも興味を持っています」といったかたちで似た商品を表示させたい場合は、「閲覧行動ベース」のレコメンドにするのが有効だと梅染氏はいう。

「購入行動ベースにするとセット買いの商品がレコメンドされやすく、ジャンルの異なる商品が表示される可能性があります。すでに大まかな条件は決めて商品詳細ページを見に来ているような訪問客に対しては、似た商品がレコメンドされやすい閲覧行動ベースのほうが適しています」(梅染氏)

 なお、ナビプラスの調査では、同施策による一般的なCTRは9.75%となっている。

 続いて、15人中8人が重要と回答したのは「カートページのあしあと」。あしあとは「リマインド」とも呼ばれ、今まで閲覧したなかで未購入の商品を「最近見た商品」などと表示するパーソナライゼーション施策だ。非常にシンプルなアルゴリズムだが、ナビプラスの調査によれば、機械学習を用いた複雑な計算を経て表示されるレコメンドよりも、表示場所の条件などによっては、高い効果が得られるという。

「鉄板表示箇所のひとつとして挙げられるのが、カートページです。買い忘れ品の購入や送料無料にするための『ついで買い』を喚起しやすいことから、CVRが非常に高い傾向があります」(梅染氏)

 同施策による一般的なCVRは19.45%となっている。

 「トップページのパーソナライゼーション」については、15人中7人が重要と回答している。ほとんどのECサイトにおいて、単一のページでもっともアクセスが多いのはトップページだ。訪問客がさまざまな目的で訪れるトップページには、やはりパーソナライゼーション施策が有効となる。

 トップページにおいてどのような施策の効果が高いかをナビプラスで調査した結果、「直近の訪問客の行動を加味したリアルタイムレコメンデーションアルゴリズム」が多くの場合、高い効果を示すことがわかったという。同施策による一般的なCTRは4.07%とそれほど高くはないが、他ページよりもアクセスの母数が非常に多いため、全体として売上へのインパクトは大きなものになる。

商品レビューとターゲティングメールの鉄板施策を紹介

 商品レビューの鉄板施策において、15人中8人が重要と回答したのは「レビュー収集施策・キャンペーン」だ。商品レビューの有効性を示すデータは各所で公開されている。梅染氏はまず「全年代を通じて、約85%がレビュー0件の商品の購入をためらう」というベルメゾン生活スタイル研究所の調査データを提示し、1件めのレビュー獲得の重要性を訴求。

 さらに、「次のステップとして数を集めることも重要です。目安として、1商品あたり5件のレビュー獲得を目指しましょう」と補足した。Spiegel Research Centerの調査データによれば、実際に5件の商品レビューを蓄積することで、CVRは270%に増加するという。

 15人中8人が重要と回答した「五つ星評価」。Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングといった代表的なECサイトはもちろん、グルメサイトや価格比較サイトなども含め、五つ星評価を採用しているサービスは非常に多い。商品名の近くに評価の平均値を示す★マークを表示し、ページ下部や別ページに評価の一覧を掲載するといったパターンが一般的だ。これは、PCやスマートフォンでネットサーフィンをしていれば必ず目につく要素であり、ユーザーへの説明が不要である点も大きなメリットといえる。

 また、「検索やレコメンド等での五つ星評価とレビュー件数表示」については、15人中7人が重要と回答している。第三者によるレビュー情報は相対的に信頼を得やすいが、エンゲージメントが高まった状態でないと、なかなか読んでもらえない。そこで、特に効率的な情報収集が望まれるエンゲージメント初期の段階においては、「五つ星評価とレビュー件数」の表示が有効となる。

「オーガニック検索や各種広告、サイト内検索、レコメンドなど、さまざまな箇所で五つ星評価とレビュー件数を表示することで、ユーザーは『商品に対する第三者の大まかな評価』と『信頼に足るレビュー数が蓄積されているか』を、ひと目で直感的に判断できるようになります」(梅染氏)

 コンバージョン前にサイトを離脱してしまうカート放棄(カゴ落ち)は非常に多く、60~80%の確率で発生するといわれている。それに対する王道的な施策といえるのが、カートに投入したが購入しなかったアイテムをメールでリマインドする「カート放棄メール(カゴ落ちメール)」だ。これは15人中8人が重要と回答している。

 ナビプラスのフォローメールサービス「NaviPlusリタゲメール」のデータでは、カート放棄メールの開封率は43%、クリック数/開封数47%、CVR31%、全売上に占める割合は1.37%と、非常に高い効果が見込めることが示されているという。

 また、カート放棄で離脱したユーザーが購入のモチベーションを保っているのは、通常、離脱してから1日以内といわれている。そのなかでも最も購入転換率が高いのが、離脱から60分以内だと梅染氏はいう。そこで重要な施策は「配信タイミング最適化」。これも、15人中8人が重要と回答している。

「カート放棄メールは、配信するタイミングが非常に重要です。60分以内に配信した場合の購入転換率は、1日後に配信した場合の1.5倍~2倍となります」(梅染氏)

 15人中7人が重要と回答したのは「ブラウザ放棄メール」。これは、「商品詳細ページを見たが、カートインしなかったユーザー」に対してメールを送信する施策だ。カート放棄メールと比べるとメールのCTRやCVRは落ちるが、配信ボリュームは大きく、費用対効果は非常に高い。海外ではカート放棄メールと同じくらい実施されているという。

「NaviPlusリタゲメールのデータを見ると、全売上に占める割合もカート放棄メールとほとんど変わらないレベルです。セットで実施することをお勧めします」(梅染氏)

 今回、梅染氏が紹介したのはいずれもスタンダードな施策であり、決して敷居の高いものではない。そのうえで高い効果が期待できる、まさに“鉄板施策”といえる。これらを未実施のECサイトにとって有用であったのはもちろん、実施済みのEC担当者にとっても、抜け漏れのチェックや実施の優先度などを見直す良い機会となったのではないだろうか。

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