ダブルイレブンでは、本家のTmallでも上位にランクインするファーストリテイリングをはじめ、中国で本格的にビジネスを行うために、現地法人を立てる企業も少なくない。当初、Tmallに出店するには現地法人が必須だったが、追って現地法人を持たずとも中国向けに販売できる仕組みとして越境ECモール「Tmall国際」が生まれた。だからこそ、多くの企業が大きな期待を抱え、越境ECに挑戦したという背景もある。
「これまでの海外展開は、現地法人を作り、現地に任せっきりが主流でした。日本は、日本国内のことしか考えていなかった。しかし越境ビジネスは、日本の商品をそのまま海外で売るやりかたです。現地の消費者が、日本で売られているものが欲しいと思っているから。その場合、現地法人はもちろん、問屋や小売任せにしてもうまくいきません。従来の、誰かにお任せ式のビジネスモデルが破綻してきていると言えますし、今後は日本主導でやっていこうという企業が増えています」
巨大な市場ながら政治・文化的背景からビジネスをするには難しいと言われていた中国。そこに比較的自由な道として越境ECという選択肢が現れたが、競争は激しく、また規制も強まり始めている。かつ、米中の貿易摩擦の影響で中国の景気も減速傾向で、消費者の財布の紐も固くなってきている。日本企業も、数年前のように「Tmallに出るには?」と熱心に情報収集する向きも落ち着いてきているように感じる。
「Tmallに出店しただけでは売れないということが、皆さんわかってきているんだと思います。Tmallはネット上の高級百貨店のようなもので、目的はブランディング。そこで売るには、Tmallと強いコネクションを持って、Tmall Partnerと手を組んで取り組まない限り、ダブルイレブン時にセール価格にするしか大きく売れる方法はありませんから」