PayPay祭り 広がった認知と一般ユーザー
11月から1月と年をまたいだ3ヵ月。相変わらずキャッシュレスは毎日話題が絶えない注目テーマだが、なかでもPayPayの盛り上がりは特別だった。2018年12月4日から始まった、「100億円あげちゃうキャンペーン」である。
PayPayは、ソフトバンクとヤフーの両社によって2018年6月に設立されたペイペイが運営するスマホ決済である。PayPayで決済すると20%、抽選で40回に1回の確率で10万円相当までの全額がPayPayボーナスとして返ってくるとあって、SNS上で大きな話題となった。これを機に家電など高額商品を購入しようと考える人が多く、還元されたPayPay画面がSNSに投稿され、さらに話題を呼び、キャンペーンはわずか10日間で終了した。
高野さんもこのコーナーで繰り返し述べてきたが、キャッシュレス決済の大きなハードルのひとつが、一般ユーザーへの浸透である。新しいサービスには、使う人が少ないから店舗が導入しない、使えるお店が少ないから使う人が増えないという負の連鎖がつきもの。PayPayは、SNSを利用しているユーザーであるとはいえ、業界関係者にとどまらない一般ユーザーに広く知られ、また、実際にアプリをダウンロードして利用させるまでに至った。
「プロモーションの勝利と言えると思います。LINE Payはじめ、他のスマホ決済も割引などの施策はすでに行っていましたが、PayPayは見せかたがうまかったのと、やはり100億円という金額のインパクトが強かったんでしょう。一方で、他でも指摘されているとおり、一過性のお祭りで終わらせず、今後も利用し続けてもらえるかはこれからの課題です。実は、キャンペーン中『PayPayに対応している』と発表されていた店舗の中でも、PayPay端末を置いている店舗とそうでない店舗があったりと、対応にバラつきがありました」
さらに、キャンペーン後半はクレジットカードの不正利用が相次いだ。PayPayにクレジットカードを登録していないユーザーであっても、被害にあったと報道されている。ペイペイは12月中に3Dセキュア(本人認証サービス)への対応を発表、年明け1月に実際に対応したことを発表している。
「誤ったセキュリティコードを何度か入力するとブロックがかかる制御を、PayPayが導入していなかったのが原因です。他の決済サービスでも対応できていないものはあるので、PayPayだけを責められないのですが、あれだけ盛り上がると粗探しをされてしまうということでしょう。対策として推奨されているのが3Dセキュアですが、別画面に遷移してID/パスワードを入力することもあり、離脱率が高い。UI/UXとトレードオフの手段であるとも言えます」
PayPayのキャンペーンが終了したところでタイミングよく、12月14日からLINE Payがこちらも20%還元を行う「Payトクキャンペーン」を、12月17日にはOrigamiが、最大半額になる「オリガミで、半額。」キャンペーンを開催した。PayPayへの対抗策だろう。
「LINE PayもOrigamiも、以前からスマホ決済の普及に尽力してきました。PayPayのキャンペーンでキャッシュレス決済の知名度が向上した今、さらに便乗する形で各社が同種のキャンペーンを展開しようとしています」