なぜ認識が一致しないとEC事業はうまくいかないのか
「外注先企業が高い見積ばかりを出してきて顧客企業への説得が難航している」、「社内の業務担当者が報告を上げなくて顧客企業から責任者が叱責を受けたことがある」。
こんな、EC事業を行ううえでのトラブルが減らず、なかなか成果が上がらないということが起きていませんか?実は、こういった経験をしたことがあるという方も多いのではないかと思います。
ではなぜ、そういったトラブルが減らないのか。その答えはとてもシンプルです。
それは「自社、協力企業(外注先企業)、顧客(クライアント)企業といった、プロジェクトメンバーの認識が一致していないから」です。
一言で「認識」と表現しましたが、プロジェクトメンバーなどとの関係先の間にある認識から、業界慣習上の認識、意識レベルの認識まで様々な種類の「認識」があります。この「認識」を限りなく一致させていくことで、EC事業の組織やプロジェクトを、まっすぐ自分たちのやりたい方向に走らせることができるようになります。この連載では、そのために理解しておかなければいけないこと、具体的な対処法について、お話していきたいと思います。
「認識の一致ということは、要するにプロジェクトマネジメントのことですよね?」と思われる方もいるでしょう。広義の意味ではそうですが、僕の考えている「認識の一致」は少し違います。
もちろん、事業を適切に進めるためにプロジェクトマネジメントが欠かせないことは言うまでもありません。プロジェクトマネジメントの手法自体は、既に体系化されていますし、書籍もたくさん出ており、プロジェクトマネジメントの認定資格すらあります。それにも関わらず、うまくいかない事業は山ほどあります。管理職やプロジェクトマネージャーの読者の方は特に、耳が痛いという方もいるかもしれません。
ではなぜ、それでも問題がなくならないのか。その理由と対策について今回は、「認識の一致」という切り口から、僕の経験をもとに紹介していきたいと思います。
最初にお話したいのが「なぜ認識が一致しないとEC事業はうまくいかないのか」ということです。
先に答えを言ってしまいますが、それは「相手の言っていることが理解できないから」です。
そんな当たり前のことを今さら言われても…と思われたかもしれませんが、事業やプロジェクトに参加しているメンバーが相手の言っていることを理解できていないために、上手くいっていないというケースがとても多いのです。
ではさらに、なぜ相手の言っていることが理解できないのか。もう少し掘り下げて考えてみましょう。