海外では当たり前のスポーツとIT 拡大する市場と日本での課題とは
――濱本さんはスポーツ産業に携わられているとのことですが。
濱本 はい、スポーツの中でも特にファンエンゲージメントと呼ばれる、チームとファンのつながりを強くするという領域が専門です。現在、スポーツビジネス市場は5.5兆円規模といわれていますが、2025年までにそれを3倍の15兆円にする計画が政府主導で動いています。15兆円といえば日本では建設業ほどの大きな業界ですので、日本のスポーツ関係者もスポーツビジネスに関する議論が活発化してきたところです。
当社の本社があるドイツはサッカーが盛んですが、トップレベルのクラブチームで年間700億円を超える売上があります。一方日本は、最も高い浦和レッズでも60億円ほどとなり10倍以上開きがあるのが現状です。
――海外では、スポーツの世界にもITが浸透していると聞きます。
濱本 海外のスポーツ業界では、チーム強化やビジネス強化にITを活用することが当たり前になっています。日本でも人気のある、バイエルン・ミュンヘンというサッカーチームでも、Hybrisのコマースとマーケティングのソリューションを使ってオンラインショップの運営、ファンとのコミュニケーションを行っているほか、アメリカの4大メジャースポーツでも、Hybrisを使ってファンエンゲージメントが施されていますね。
――国内のスポーツ業界では、ITの浸透状況はいかがでしょうか。
濱本 日本のプロスポーツでも、海外の事例を参考にデジタルを活用したファンエンゲージメントを推進したいという声が聞かれるようになってきました。しかしながら、ビジネスサイドのスタッフは少人数で主催試合の準備・運営などを実施しているところが多く、マーケティング業務に人的リソースをかけられていないのが現状でしょう。
ただし、海外でも潤沢なスタッフでマーケティングを実施しているわけでは決してありません。その中でデジタルマーケティングを実施する場合、機能が統合的に揃っているソリューションが喜ばれる傾向があります。ECソリューションやMA、CRMなどを個別に吟味して選んでいくのはかなりの負担ですからね。
――その中で、Hybrisが優れているのはどのような点でしょうか。
濱本 Hybrisでは、オンラインでチケットやグッズを販売するEC機能、顧客のプロファイルや行動データを管理するCRM、スタジアムでの飲食やグッズ販売を管理するPOS、そして蓄積された顧客データを活用してマーケティングキャンペーンを打つプラットフォームまでが一貫して揃っています。ひとたび導入すればあらゆるデジタルマーケティングを実現可能な点が、世界中のスポーツ団体においてHybrisが喜ばれる理由のひとつだと感じています。
その一方で、部分的に始められるのもHybrisの特徴です。すでに他社製品をご利用であるとか、様子を見るためにスモールスタートしたいといった場合に、まずはECから、セールスからといった形でスタートでき、その後のニーズに応じて拡張できるフレキシブルな仕組みになっています。また、お客様の環境に合わせて、クラウド型、オンプレミス型から選んでいただけるのも特徴のひとつです。