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世界が選ぶソリューション SAP Hybrisが目指す「真のオムニチャネル」とは

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2017/08/10 11:00

 エンタープライズ、アプリケーション、ソフトウェアにおけるマーケットリーダーとして多くの企業を支援するSAP。同社では、2013年にhybris softwareを買収し、オムニチャネルが抱える課題を解決するソリューションとして「SAP Hybris」という商品を提供している。今回は、SAP Hybris ソリューション事業本部 部長 兼 事業開発室 室長 吉元宣裕氏、イノベーションオフィス 部長 スポーツ産業向けマーケティング支援担当 濱本秋紀氏の両名に、SAP Hybrisの概要と同社が考える「真のオムニチャネル」についてうかがった。

すべてが揃う「SAP Hybris」で目指すのは、真のオムニチャネルの実現

――SAP Hybrisとは、具体的にはどのようなソリューションなのでしょうか。

吉元 SAP Hybrisはコマース、マーケティング、セールス、サービス、ビリングのソリューションで構成されています。「デジタルとリアルの融合」は、ECにかかわる企業はもちろん、あらゆる企業が全力で取り組まなければならないテーマだと考えています。コマースや店舗、コールセンター、およびそれに付随する商品や在庫、および顧客の情報などをひとつにつなげ、理想的なオムニチャネルを実現するのがHybrisの目指す姿であると言えます。

たとえば、マツモトキヨシ様のECサイトでHybrisを利用いただいていますが、お気に入りの店舗を登録することで、商品をECで買うことも、お店に取り置きや取り寄せをすることも可能になっています。さらには店舗別の在庫状況や価格の違いなどを確認できますが、これもHybrisがすべての情報を管理しているからです。

その意味では、Hybrisの強みはBtoBをカバーできる点にあると言えるかもしれません。取引先や代理店によって、自社製品の値引き率が変わるといったことは多くあると思いますが、そういったかゆいところに手が届く管理も可能になります。実際、BtoBの実績が半分を占めています。

お客様が店舗やECなどを訪問する際に、どういうカスタマージャーニーをたどって自社と接点を持っているのか、そういった高度なデータ処理を可能にしているのが、SAPの中枢にあるHANAというエンジンです。データの予測や解析を高速で処理できるため、新しい施策の実施にもスムーズに移行できます。顧客や消費者にかかわるあらゆる情報を素早く、一括で管理できることもHybrisの特徴です。

SAPジャパン株式会社
SAP Hybris ソリューション事業本部 部長 兼 事業開発室 室長
吉元 宣裕氏

――Hybrisの目指す「真のオムニチャネルの実現」とは、具体的にどのような意味なのでしょうか。

吉元 たとえば、小売業者が新たなチャネルを作りたいといって、何となくECを始めてもうまくいくわけではありません。その裏には、店舗もあればカスタマーサービスもある。業種によっては卸や代理店が絡むこともあるでしょう。会社とお客様の間にはそういったタッチポイントがたくさんあるはずで、それらの情報をすべて集め活用してはじめて、真のオムニチャネルが実現できます。また、何のためにオムニチャネルを実現するのかも重要で、それは「お客様にベストな体験を提供すること」だと考えています。

――「真のオムニチャネルの実現」に向けて、オムニチャネルに取り組めている企業は多いのでしょうか。

吉元 正直に申し上げると、現場レベルではどうしても目の前の業務だけを見がちな傾向があります。我々はお客様に対し、ECと店舗はどちらも欠かせない両輪であり、広い視点を持つ重要さをお伝えしていますが、その認識を持っていただくまでが一番苦労しますね。企業内の組織も、リアルとデジタルのチャネルは部門もKPIも別なことが多いです。

このため、チャネルをまたがって事業を俯瞰する立場の方は、上層部のエグゼクティブに限られるケースが非常に多く、経営陣や上層部には危機感をお持ちの方が多いです。特に、小売業や百貨店などにそれを感じます。これまでアパレルはECに向かないなどと言われてきましたが、ZOZOTOWNのようなウェブ通販が非常に大きな力を持つようになりました。これを脅威に感じているのではないでしょうか。ただしその一方で、具体的にどこから手をつければよいかがわからないのが実情かと思います。

海外では当たり前のスポーツとIT 拡大する市場と日本での課題とは

――濱本さんはスポーツ産業に携わられているとのことですが。

濱本 はい、スポーツの中でも特にファンエンゲージメントと呼ばれる、チームとファンのつながりを強くするという領域が専門です。現在、スポーツビジネス市場は5.5兆円規模といわれていますが、2025年までにそれを3倍の15兆円にする計画が政府主導で動いています。15兆円といえば日本では建設業ほどの大きな業界ですので、日本のスポーツ関係者もスポーツビジネスに関する議論が活発化してきたところです。

当社の本社があるドイツはサッカーが盛んですが、トップレベルのクラブチームで年間700億円を超える売上があります。一方日本は、最も高い浦和レッズでも60億円ほどとなり10倍以上開きがあるのが現状です。

――海外では、スポーツの世界にもITが浸透していると聞きます。

濱本 海外のスポーツ業界では、チーム強化やビジネス強化にITを活用することが当たり前になっています。日本でも人気のある、バイエルン・ミュンヘンというサッカーチームでも、Hybrisのコマースとマーケティングのソリューションを使ってオンラインショップの運営、ファンとのコミュニケーションを行っているほか、アメリカの4大メジャースポーツでも、Hybrisを使ってファンエンゲージメントが施されていますね。

SAPジャパン株式会社
イノベーション オフィス 部長 スポーツ産業向けマーケティング支援担当
濱本 秋紀氏

――国内のスポーツ業界では、ITの浸透状況はいかがでしょうか。

濱本 日本のプロスポーツでも、海外の事例を参考にデジタルを活用したファンエンゲージメントを推進したいという声が聞かれるようになってきました。しかしながら、ビジネスサイドのスタッフは少人数で主催試合の準備・運営などを実施しているところが多く、マーケティング業務に人的リソースをかけられていないのが現状でしょう。

ただし、海外でも潤沢なスタッフでマーケティングを実施しているわけでは決してありません。その中でデジタルマーケティングを実施する場合、機能が統合的に揃っているソリューションが喜ばれる傾向があります。ECソリューションやMA、CRMなどを個別に吟味して選んでいくのはかなりの負担ですからね。

――その中で、Hybrisが優れているのはどのような点でしょうか。

濱本 Hybrisでは、オンラインでチケットやグッズを販売するEC機能、顧客のプロファイルや行動データを管理するCRM、スタジアムでの飲食やグッズ販売を管理するPOS、そして蓄積された顧客データを活用してマーケティングキャンペーンを打つプラットフォームまでが一貫して揃っています。ひとたび導入すればあらゆるデジタルマーケティングを実現可能な点が、世界中のスポーツ団体においてHybrisが喜ばれる理由のひとつだと感じています。

その一方で、部分的に始められるのもHybrisの特徴です。すでに他社製品をご利用であるとか、様子を見るためにスモールスタートしたいといった場合に、まずはECから、セールスからといった形でスタートでき、その後のニーズに応じて拡張できるフレキシブルな仕組みになっています。また、お客様の環境に合わせて、クラウド型、オンプレミス型から選んでいただけるのも特徴のひとつです。

マスから個、モノ売りからコト売りへ デジタルマーケティングの変化

――御社ではさまざまな企業とお付き合いがあると思いますが、デジタルマーケティング界隈で何か変化は感じていらっしゃいますか。

吉元 いわゆるナショナルクライアントと呼ばれるような規模のお客様においては、著名人を起用して大々的にプロモーションを行えば売れるといった時代があったと思います。それでうまくいっていたこともあり、なかなか「個」でお客様を捉えるという視点をお持ちではなかったのかもしれません。

しかし最近では、それでは時代に取り残されると考える企業様も多くなってきたように思います。デジタルマーケティングにおける最大の利点は、「個」に対するターゲティングにあると言えますが、それを最大限活用しようという機運が高まっているのを感じます。

――デジタルマーケティングにおいて、昨今のキーワードである「カスタマージャーニー」を重要視されているということですが、それはどういった理由からでしょうか。

吉元 我々はよく「デザインシンキング」というセッションを実施するのですが、その際に、ペルソナを作ってカスタマージャーニーを描くということを必ずやります。ひとりのお客様を想定し、その人がどういった日常を過ごしているのか、自社製品とどういった接点があって、いつ感情が高ぶったりストレスを感じたりするのか、といったところまで細かく想像していくと、これまで漠然としていた「自社の顧客像」がはっきりと見えてきます。そういった体験をしていただくことで、自分たちができることやお客様にとっての最善策を考えられるようになると思います。

濱本 顧客が購入に至るには、文脈が重要ですよね。Hybrisではコンテクスチュアルマーケティングと言っています。ひとことで言ってしまえば「モノ売りからコト売り」となりますが、今までモノを売ってきた企業も、今後はデジタルを使ってコト、サービスを売る時代になっています。

ランニングアプリを例に挙げれば、スポーツメーカーはこれまで、デパートやスポーツ店に商品を卸していたため、顧客の情報をダイレクトに取得することは難しかった。それが今では多くの付帯情報を取得できているのはもちろん、顧客に新しい体験と習慣まで生み出しました。私個人も、走るということよりも走った結果が見えるという体験を手に入れてしまったので、もうアプリを起動しないと走る気がしないし、何かの拍子にデータが消えてしまうと、自分が走った意味までなくなった気分になるほどです。

――最後に、Hybrisやオムニチャネルを検討されている企業の方にメッセージをお願いします。

吉元 Hybrisの本質は、コマースで言えばフロントエンドではなく、実はバックエンドの在庫や価格の一元化や整合性の担保であり、マーケティングで言えばメールやSNSの配信といったフロントよりもカスタマージャーニーを捉えるための顧客データの収集と解析なのです。

Hybrisは真のオムニチャネルを実現するためのプラットフォームを目指しています。ただ現実はデータをつなぐだけで精一杯で、効果的なオムニチャネルやマーケティングの施策が実現できずに困っている企業も多いように思います。

先日あるお客様がおっしゃっていたのが印象的でしたが、デジタルで一度失敗した企業はHybrisの良さが改めてよくわかるとのことでした。しっかりとした土台を準備することは、遠回りのようで実は近道なのかもしれません。(了)

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