10年先の未来が来た。AIの進化のスピードは想像以上
AI、機械学習、ディープラーニング。近年の登場以来、今や聞かない日はないほど浸透したこれらのキーワード。人の仕事が奪われるのではと言った警戒心を抱かれる一方、うまく活用できなければ取り残されるという脅威を感じる人も少なくないだろう。
2017年3月に開催された「ECzine Day 2017 Spring」では、これら最先端技術を駆使し、マーケティングオートメーション(以下、MA)に応用している株式会社アクティブコアの代表取締役社長、山田賢治氏が登壇。「マーケティングオートメーション・機械学習で売上を上げる仕組み作り」と題し、デジタルマーケティングにAIが応用され始めている現状、そもそも機械学習とは何なのか、ECの世界はどう変わるのかが語られた。
山田氏はまず、ディープラーニングの一例として、昨年世界的に話題になった「囲碁棋士 vs コンピュータ」の話題を取り上げ、その驚異の実力について語った。
「昨年、Google DeepMind社が開発した『AlphaGo』という囲碁ソフトが、韓国のイ・セドル棋士を打ち負かしたという衝撃的なニュースがありました。碁は非常に複雑なゲームのため、コンピュータが人間に勝つのは10年先だろうと言われていたにも関わらずです。AI、ディープラーニングの世界はそれほど急激に進化していると言えます。
ただし、一口に『AI』と言っても、その種類は多岐にわたります。カリフォルニア大学のジョン・サール教授によれば、AIは大きく2つの種類があります。1つは、『コンピュータに人間同様の知能を持たせたもの』、もう1つは『これまで人間が行っていたことをコンピュータに代替させるもの』です。前者を『強いAI』、後者を『弱いAI』と言い、現在巷で話題となっているのは、後者のことを指します」(山田氏)
データ解析だけではない。「機械学習」の本当のすごさとは
EC事業者がAIを利用してできることは何だろうか。その前に山田氏は、昨今ビジネス業界で活用されているAIの一種、「機械学習」について説明した。
「機械学習とは、端的に言ってしまえば確率や統計モデルによるパターン認識のことです。ニューラルネットワーク、ディシジョンツリー、クラスタリングなど、関連するアルゴリズムはいろいろありますが、まず本質を押さえてください。
これまでは、ただ膨大なデータを読み込み、ひたすら分析することで精度を上げる方法が主流でした。機械学習では、機械が予測した結果を正解と比較し、その誤差からモデルを更新していくのが特徴です。正解へ向かうための学習モデルを再構築し、チューニングしていく。それをすべて自動で行うことが機械学習の本質です」