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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

日本の魅力発掘に挑戦!越境ECで広がるブランドの可能性

日本のアーティスト・コンテンツを海外へ 越境ECサイト運営5年目のポニーキャニオンが語る発見と手応え

 ジャンルごとに特化した複数の国内向けECサイトに加え、越境専門のECサイトを2020年から運営している株式会社ポニーキャニオン。日本のコンテンツへの注目がますます高まるなか、音楽、映像・映画、アニメ、グッズなど幅広いジャンルを手がける同社は、どのようにしてビジネスの海外展開や越境EC運営を進めているのか。これまでの歩みと現状、今後の展望について、ライブ・ECソリューション本部 コンシューマビジネス部 シニアチーフプロデューサーの折原和弘氏に話を聞いた。

国内・越境合わせて5サイトを運営 その意図に迫る

 1992年にポニーキャニオンに入社した折原氏は、アニメーションや映像作品の制作・宣伝、アプリなどのIT系事業開発に携わった後、2016年から現在の部署にてオンライン販路開拓に携わっている。

 1966年創業の同社は、インターネット普及以前から新聞通販、カタログ通販などtoC向けの販路を有していたが、時代の変化に合わせて10年ほど前に公式ウェブサイトへECカート機能を実装。「今振り返れば、これがEC化の始まりだといえる」と折原氏は説明した。

「現在は国内向けに四つ、海外ユーザー向けに一つのECサイトを展開しています。国内向けECサイトは、扱う商材や目的に合わせて現状サイトそのものを分けていますが、この形で最善なのかはまだ模索中の段階です。売上規模としては、アニメ専門の『きゃにめ』が一番大きく、この領域はフィジカル商材が根強く求められていることを感じます」

株式会社ポニーキャニオン ライブ・ECソリューション本部 コンシューマビジネス部 ゼネラルディレクター 折原和弘氏
株式会社ポニーキャニオン ライブ・ECソリューション本部 コンシューマビジネス部 シニアチーフプロデューサー 折原和弘氏

 フィジカル商材の需要とIP活用の可能性を感じ、同社は2024年7月にフィギュア事業ブランディングサイトの「PONY CANYON FIGURE」を立ち上げている。フィギュア販売で手応えを得たのは、2021年。テレビアニメ『SSSS.DYNAZENON』のオリジナルフィギュア商品を販売したのが、きっかけだったそうだ。

フィギュアは単価が高いため、高リスクであると同時にハイリターンを見込める商材だといえます。また、海外で同等のクオリティーのものを製造・販売するのは現状困難だといわれており、世界的に見ても競争力が高いです。IP活用と海外展開、この2軸を踏まえてフィギュア事業が立ち上げられました。業界的には新参者なので、ブランディングサイトを通じてブランド価値の確立と向上を目指します」

 音楽、映像・映画、アニメなど、海外にも多くのファンが存在するコンテンツを有するポニーキャニオンだが、こうした作品には「権利」が存在する。日本向けのECサイトを単に多言語化・越境化すれば済む話でもなく、試行錯誤の結果たどり着いたのが、海外販売可能な商品をセレクトした売り場「PONYCANYON SHOP」を設けることだったという。

「同サイトでは、権利面をクリアしていて、かつ海外需要の高いアーティストの音楽・映像作品やグッズを取り扱っています。しかし、セレクトですべての顧客の希望に応えるのは困難です。実際、国内向け販売を行う『ポニーキャニオン公式オンラインショップ』のアクセスログでも、海外からのアクセスがあることは、以前からわかっていました。

 そこで、2024年3月に公式オンラインショップへ越境ECサービスの『WorldShopping BIZ』を導入しました。同サービスを通じて、商品を求めるユーザーの国・地域、属性などを可視化しています。データが得られれば、その反響を基に権利交渉したり、リアル販路の開拓をしたりと次なる手を打つことが可能です。今後の展開に役立てたいと思っています」

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この記事の著者

松岡 亜希(マツオカ アキ)

フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。● http://pubapart.com/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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