「Plan」と「Check」に重きを置いた施策改善 仮説の精度が上がったきっかけは
──クレジットカードをはじめとし、デビットカードやプリペイドカード、ギフトカードなどあらゆる金融商材の入会・販売促進を行っているジェーシービーですが、西野氏は現在同社の中でどのような役割を担っているのでしょうか。
西野(ジェーシービー) 私は、ジェーシービーのWEBサイトのCVR向上や、集客の最適化に向けた支援をする部署で、全社横断的に数字の改善に向けたサポートを行っています。実際の広告出稿は、各商材を担当する事業部の担当者が手掛けており、WEB統制グループでは、各事業部のWEBマーケティングのリテラシー向上や、スキル補完に向けたサポートなども行っています。現在は、9名がチームに在籍しています。
伊奈(Contentsquare Japan) ジェーシービー様には、2020年より顧客体験分析ツール「Contentsquare」を導入いただいていますが、WEB統制グループが日々追っているKPIやそれらの達成に向けてどんな施策を行っているのか、教えてください。
西野(ジェーシービー) CVR改善のために、A/Bテストを継続的に実施しています。2023年度は、クレジットカードなどの6券種で83本の施策を走らせ、コンバージョン数やCVR、寄与収益額といった目標を達成するためのA/Bテストを行ってきました。打ち手の精度を高めるために、PDCAサイクルの中でも特に「Plan」と「Check」に重きを置いています。
伊奈(Contentsquare Japan) PDCAサイクルの中に「Contentsquare」をはじめとする複数のツールが記載されていますが、現在のサイクルに行き着くまでには試行錯誤をされたのでしょうか。
西野(ジェーシービー) 「Contentsquare」を導入する前からA/Bテスト自体は行っていましたが、「何がよかったのか・悪かったのか」といった検証の解像度を上げるのが機能上難しく、ナレッジ化や施策の精度を高める点に課題を抱えていました。検証を本格化させるためにフローの見直しやツールの刷新をしたいと考えていたところで、当社のデジタルマーケティングを長年にわたって支援し続けてくれている株式会社ギャプライズから紹介を受けたのが「Contentsquare」でした。
「Contentsquare」は、単に施策の勝ち負けを判断するためでなく、「ユーザー行動がどう変わったか」を確認する目的で活用しています。結果だけにフォーカスしても、メンバーの中にナレッジが蓄積されず、施策の再現性を高めたり、成功率を上げたりといった継続的な成果につながりません。「Contentsquare」が、A/BテストやWEBサイト改善のラストワンマイルを埋めるピースとしてうまくはまってくれたと感じています。
伊奈(Contentsquare Japan) CVR改善は、継続性をもって取り組むべき施策だといえます。デジタル顧客接点におけるOne to One強化の流れを踏まえれば、ユーザーがいかにストレスなくWEBサイトやアプリを利用できるかA/Bテストなどをしながらきちんと分析し、体験向上に向けて働きかけていくべきですが、2023年9月に「Google Optimize」が廃止されたのを機に、なし崩し的にA/Bテストをやめてしまった企業もいるのが事実です。
直近のトレンドに目を向けると、プレーヤーが増え、広告による獲得コストが上昇する一方で、CVR低下の課題を抱える企業が増えています(Contentsquare Japan発表「2024年 デジタルエクスペリエンス・ベンチマークレポート」より)。ユーザーの離脱につながるWEBサイトやアプリ利用中のフラストレーションスコアも、前年比約40%上昇しており「ユーザー行動の把握」を課題感とする企業が増えている様子が見えますが、ジェーシービー様の現状はいかがでしょうか。
西野(ジェーシービー) ジェーシービーでは扱う商材柄、コロナ禍以降のキャッシュレス化の追い風もあり、そこまで顕著なCVR低下などの状況には陥っていません。
「ユーザー行動の把握」という課題感に対しては、「Contentsquare」の導入以降、CTRやCVRといった全体像を把握するための数字だけでなく、スクロール率や個別ユーザーの行動など、より踏み込んだデータまで追えるようになったので、まだ完全ではないものの、課題をある程度解消することができました。
またユーザーの行動が見えてきたことで、「次にどのようなアプローチをすべきか」といった仮説立案の精度が向上しました。各事業部と議論する際の説得力が増したことで信頼を獲得し、より円滑に施策を実行できるようになったと感じています。