ベルリンに実店舗をかまえるオリジナル文具のお店
ノートやレターパッドなど、紙モノのオリジナル文具を中心に扱う「sowale(ソワレ)」。ネットショップには、シンプルで洗練されたデザインながら、温かみも感じられる素敵な商品が並ぶ。質がよく書きやすい紙、使う人の目線に立った工夫など、1つひとつ丁寧に形にした文房具は、その使い心地のよさからリピーターも多い。
実はこのsowale、実店舗があるのはドイツのベルリン。1年ほど前に日本からベルリンへ移住した只松靖浩さん・友美さん夫妻が、2人でお店を営んでいる。
ベルリンへ移住する前は、会社勤めのかたわら、福岡市内で週末だけsowaleを開いていた只松夫妻。もともと文房具が好きだった2人が店を開くことになったのは、パリ旅行で素敵な文房具店に出会ったことがきっかけだった。
「sowaleの語源となったsoiréeは、フランス語で宵という意味です。パリで素敵なお店に出会い、いつかこんな文房具屋を2人でできたらいいなと話していた時間が、夕闇から夜に変わる美しい宵だったことから名づけました」
そう振り返るのは、店主の只松靖浩さん。まずはゆったりしたペースではじめてみようと、2009年5月、週末だけのお店をオープンすることに。店をやるからには、オリジナルの文具を作ろうと当初から考えていた。
「そう考えたのは、私が印刷会社に勤めていたことが大きかったと思います。趣味として写真やデザインをしていたので、それに加えて印刷の知識やノウハウを活かせば、素敵なオリジナルの文房具を作ることができるではないかと想像していました」
sowaleのオリジナル文具は、只松さん自身や、友人のクリエイターと一緒にデザインしたものを、勤めていた印刷会社で形にしている。その製造工程はベルリンに移った現在も変わらない。
その後、福岡でお店を経営しながら、一度訪れてみたかったベルリンを夫婦で旅行したことが大きな転機となった。2011年5月のことだ。
「はじめて訪れたベルリンは街が緑であふれ、ゆったりとした時間が流れているのがとても印象的でした。街の人も穏やかでのんびりとしていて、2人ともすぐにベルリンが気に入りました。1週間ほどの旅行でしたが、いつかこの街で暮らしてみたいと思い、そのときからすでにベルリンへの移転を考えていました」
それから5年ほどかかったが、ベルリン移転への思いは強く、2015年いっぱいで福岡の店をクローズ。勤めていた仕事も整理してドイツへ渡った。現地で住民登録やビザなどの手続きを行いながら店舗の物件を探し、ついに2016年7月、sowaleのベルリン店をオープンさせた。