「データの把握」で、高速・高確度なPDCAサイクルを作る
ECz:マードゥレクスでは、LTVを最大化させるためにCRMシステムを利用されるとのことですが、他の企業ではいかがでしょうか。
鈴村:いかに既存客のロイヤルティを高めていくかというのは、私達とお付き合いのある他の企業様でも大きな課題となっています。特に、最近では藤原さんのお話の通り競争が激化しており、新規だけで売り上げを伸ばすことは非常に難しくなってきています。
一般的にオンライン・オフラインを含めて、新規と既存が3:7という割合が健全な経営状態だと言われています。これが逆転してしまうと、広告費を使いすぎていたり、既存客が流れてしまっていたりという状態になってしまいます。オンラインでは特に、競争の激化のためお客様の獲得単価が高止まりしているという状況が顕著であり、一つの広告を出したときの費用対効果だけでの成果では、売り上げを最大化するのは難しくなってきています。その中で、一度でも利用いただいた顧客に、いかにその商品のファンになっていただくかはとても重要なポイントです。
御社では、オンラインでの販売において、こうした状況に対してどのような仕組みづくりを考えていらっしゃいますか?
藤原:CRMシステムの導入については、大きく三つの目的がありました。
一つは、お客様がどのように商品を購入されているのかという、「データの把握」です。つまり、データを貯めておく箱を設置し、用途に合わせて使える状態にしておくということです。
二つめは、「貯めたデータを、サービスに変える」ということです。データを使って、リテンションのためのサービスに活用するのか、メール配信に活用するのかなど、貯めたデータをプロモーションに繫げたいと思っています。
そして最後は、「効果測定」です。そのプロモーションの効果を分析し、効果の有無を評価することで、高確度なPDCAを回したいと思っています。
鈴村:既に明確な目的を持って、ツールを検討されていたわけですね。それでは、CRMシステムを選ぶ上で、特に重視した点はどのような点だったのでしょうか。
藤原:CRMシステムに対しては、できることが多い一方で使い勝手が悪いという印象がありました。そのため、できるだけ使い勝手の良いシステムを導入したいと思っていました。カスタマーリングスのデモ画面を拝見した際、機能が多いわりに使い方がとてもシンプルだったことが印象的でした。先ほども話しましたが、このようなシステムは機能が多岐にわたるほど、いろいろな制約が出てきて複雑になっていくというイメージでした。
カスタマーリングスは、先ほどの三つの目的に使う場合、同一のシステム上でPDCAを回せるインタフェースだったため、導入を決定しました。貯まったデータを運用する際のスピード感が特に優れていると思います。
マーケティングでは、何度もA/Bテストをしたり、変化し続けるお客様に合わせたりと、私達も常に変化が求められます。正解がない世界だからこそ、何度も試行錯誤し、いろいろな施策を試します。そのため、現場で運用している人にとって使いにくければ、どんなに素晴らしいツールであっても意味がないと思っています。
一元的なCRMシステムで、分析→行動をシームレスに行いPDCAを高速回転させる
ECz:使い勝手の良さとは、業務面でどのような影響をあたえるのでしょうか?
藤原:たとえば、メールの管理画面や集計結果、そしてそこから分析する画面などは、これらの画面が使いにくいと、どうしても作業に時間がかかってしまいます。そのため、限られた時間の中で、むりやり作業をやってしまうことで、思うような効果が得られないことがあります。
ロイヤルティを高めるためには、サービスの質をより良くしていかなくてはいけませんが、担当者にとって使いにくいツールをむりやり使わされていると、サービスが向上していきません。
鈴村:そうですね。システムにおいて重要なことのは、いかに思考を妨げずに操作できるか、という点につきます。特にCRMツールの分野では、各機能別にツールが別々だったりする場合が多くあります。たとえば、メールにはメール配信ツールがある、BIにはBIツール、データベースにはデータベース専用ツールだったり……そしてシステムの間は、現場の担当者がつないでいる。という状態です。
このように、メールを送る際にリストを抽出してきたり、効果測定をするにはGoogleアナリティクスを見たり……、というように、一つのPDCAサイクルを回すだけでも複数のツールをまたがないとできないようだと、手間ばかりかかるので、現場は使わなくなります。
我々がカスタマーリングスを開発するにあたってこだわったのは、本来人が持つパワーを最大限引き出せるか、という点です。その中で、機能が自動化したほうが良いのであれば、自動化するべきだ、ということです。