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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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マードゥレクス・藤原氏と語る 既存顧客のLTVを最大化する「CRM戦略」とは?

 化粧品ECサイトを運営するマードゥレクスが、プラスアルファ・コンサルティングのCRMシステム「カスタマーリングス」の導入を決定しました。化粧品のオンライン市場において、最新のCRMシステムはどのようなソリューションを提供するのでしょうか。本記事では、マードゥレクスの取締役社長・藤原尚也氏に、化粧品市場に求められる「デジタル主導」のマーケティングの重要性を、プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長の鈴村賢治氏とともに語っていただきます。

顧客のLTVを最大化する、データ主導の戦略

ECzine編集部(以下、ECz):藤原さんは、以前の記事でもご登場いただいておりましたが、改めてご経歴をお聞かせください。

マードゥレクス取締役社長の藤原尚也氏(左)と、プラスアルファ・コンサルティング取締役副社長の鈴村賢治氏(右)

藤原:はい。私は元々、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するレンタルビデオショップのTSUTAYAで、店舗での接客や店舗づくりを行っていました。当時は、お客様の好きな映画などを覚えて、似たジャンルの新作が出た際などでお勧めしたり、アナログでCRMを行っていましたね。店長として実店舗を運営した後、TSUTAYAオンラインの立ち上げの際に、オンラインの店長を任され、デジタルの世界へと入りました。

ECz:当時はどのようなマーケティングをされていましたか?

藤原:当時から、今のようなメールマーケティングをしていました。具体的には、あるアーティストのファンに、新作予約のメールを配信するような形です。その後、ニキビケアの「プロアクティブ」で知られるガシー・レンカー・ジャパンに転職しました。ニキビ商品は、継続的に使用することで肌の状態が改善する商品なので、継続的に利用していただくためのステップメールというアメリカのメールマーケティングを学びました。現在は、マードゥレクスにて、リアルでのマーケティングと、アメリカのCRMを組み合わせ、新しく化粧品のサービスを始めてみたいという思いで仕事をしています。

ECz:実店舗とメールでのマーケティングの両方でご活躍をされていたのですね。鈴村さんは、藤原さんのご経歴聞いてどうお感じになりましたか?

鈴村:「なるほどな」と思いました。今でこそECの分野でご活躍されている藤原さんのバックボーンに、元々のリアル店舗での接客と、ECの黎明期である90年代からのご経験があったというのは、非常に納得です。今回、御社のブランド「エクスボーテ」でカスタマーリングスを利用されるとのことですが、以前はどのようなCRMを行ってこられたのでしょうか。

藤原:実はほとんどやってきていませんでした。エクスボーテでは、主に紙媒体を中心に獲得しており、Web受注の獲得は全体の売り上げの1割程度で、CRMを推進する環境が整っていませんでした。しかし、エクスボーテはどちらかと言うとデジタル世代の若いお客様をメインターゲットとした商品です。そのため、ECサイトでの売り上げについては非常に伸び代があると見込んでいます。

鈴村:御社にとって、マーケティング戦略におけるCRMの位置づけはどのようなポジションなのでしょうか?

藤原:まず一般的に、マーケティング戦略には二つの要素がありますよね。一つは新規開拓。どのようにして新規顧客を獲得するかという点です。そして、もう一つが、獲得した顧客をいかにリテンションさせていくかという部分ですね。

 新規開拓は、まず商品ありき、という世界で、これはプロモーションがメインとなります。コストがかかる分野ですね。一方のリテンションでは、獲得した顧客に、改めて同じコストをかけて販促をするのではなく、効率的にロイヤルティを向上させていくことが大切です。単純に値引きをするのもよくありません。

 単品の通販であれば、人の考えでA/Bテストを行いPDCAを回すことができますが、エクスボーテではSKUが80以上の商品を取り扱っており、個を理解したコミュニケーションをするには人海戦術では難しく、CRMシステムの必要性を感じていました。また、市場自体も新規の獲得が難しくなってきており、いかにリテンションを高めるかは大きな課題でした。このように、データを活用してお客様のLTVを最大化していくためには、CRMシステムを導入し、しっかりと分析しながら取り組むことが大切だと感じています。

「データの把握」で、高速・高確度なPDCAサイクルを作る

ECz:マードゥレクスでは、LTVを最大化させるためにCRMシステムを利用されるとのことですが、他の企業ではいかがでしょうか。

鈴村いかに既存客のロイヤルティを高めていくかというのは、私達とお付き合いのある他の企業様でも大きな課題となっています。特に、最近では藤原さんのお話の通り競争が激化しており、新規だけで売り上げを伸ばすことは非常に難しくなってきています。

 一般的にオンライン・オフラインを含めて、新規と既存が3:7という割合が健全な経営状態だと言われています。これが逆転してしまうと、広告費を使いすぎていたり、既存客が流れてしまっていたりという状態になってしまいます。オンラインでは特に、競争の激化のためお客様の獲得単価が高止まりしているという状況が顕著であり、一つの広告を出したときの費用対効果だけでの成果では、売り上げを最大化するのは難しくなってきています。その中で、一度でも利用いただいた顧客に、いかにその商品のファンになっていただくかはとても重要なポイントです。

 御社では、オンラインでの販売において、こうした状況に対してどのような仕組みづくりを考えていらっしゃいますか?

藤原:CRMシステムの導入については、大きく三つの目的がありました。

 一つは、お客様がどのように商品を購入されているのかという、「データの把握」です。つまり、データを貯めておく箱を設置し、用途に合わせて使える状態にしておくということです。

 二つめは、「貯めたデータを、サービスに変える」ということです。データを使って、リテンションのためのサービスに活用するのか、メール配信に活用するのかなど、貯めたデータをプロモーションに繫げたいと思っています。

 そして最後は、「効果測定」です。そのプロモーションの効果を分析し、効果の有無を評価することで、高確度なPDCAを回したいと思っています。
 

鈴村:既に明確な目的を持って、ツールを検討されていたわけですね。それでは、CRMシステムを選ぶ上で、特に重視した点はどのような点だったのでしょうか。

藤原:CRMシステムに対しては、できることが多い一方で使い勝手が悪いという印象がありました。そのため、できるだけ使い勝手の良いシステムを導入したいと思っていました。カスタマーリングスのデモ画面を拝見した際、機能が多いわりに使い方がとてもシンプルだったことが印象的でした。先ほども話しましたが、このようなシステムは機能が多岐にわたるほど、いろいろな制約が出てきて複雑になっていくというイメージでした。

 カスタマーリングスは、先ほどの三つの目的に使う場合、同一のシステム上でPDCAを回せるインタフェースだったため、導入を決定しました。貯まったデータを運用する際のスピード感が特に優れていると思います。

 マーケティングでは、何度もA/Bテストをしたり、変化し続けるお客様に合わせたりと、私達も常に変化が求められます。正解がない世界だからこそ、何度も試行錯誤し、いろいろな施策を試します。そのため、現場で運用している人にとって使いにくければ、どんなに素晴らしいツールであっても意味がないと思っています。

一元的なCRMシステムで、分析→行動をシームレスに行いPDCAを高速回転させる

ECz:使い勝手の良さとは、業務面でどのような影響をあたえるのでしょうか?

藤原:たとえば、メールの管理画面や集計結果、そしてそこから分析する画面などは、これらの画面が使いにくいと、どうしても作業に時間がかかってしまいます。そのため、限られた時間の中で、むりやり作業をやってしまうことで、思うような効果が得られないことがあります。

 ロイヤルティを高めるためには、サービスの質をより良くしていかなくてはいけませんが、担当者にとって使いにくいツールをむりやり使わされていると、サービスが向上していきません。

鈴村そうですね。システムにおいて重要なことのは、いかに思考を妨げずに操作できるか、という点につきます。特にCRMツールの分野では、各機能別にツールが別々だったりする場合が多くあります。たとえば、メールにはメール配信ツールがある、BIにはBIツール、データベースにはデータベース専用ツールだったり……そしてシステムの間は、現場の担当者がつないでいる。という状態です。

 このように、メールを送る際にリストを抽出してきたり、効果測定をするにはGoogleアナリティクスを見たり……、というように、一つのPDCAサイクルを回すだけでも複数のツールをまたがないとできないようだと、手間ばかりかかるので、現場は使わなくなります。

 我々がカスタマーリングスを開発するにあたってこだわったのは、本来人が持つパワーを最大限引き出せるか、という点です。その中で、機能が自動化したほうが良いのであれば、自動化するべきだ、ということです。

データ主導の化粧品販売における「マーケターの働き方」とは

ECz:藤原さんのお話にもありましたが、システムのUIがマーケティング自体に影響を与えることはよくあるのでしょうか?

鈴村:やはり、どのようなシステムも「人ありき」だと思っています。私自身、前職のシンクタンクで通販会社のデータマイニングプロジェクトにおいて、様々なデータの加工だけで膨大な時間を取られたり、気づくとデータに埋もれてしまい全体像が見えづらくなってしまうような経験がありました。

 分析をする際には、「鳥の目と虫の目」と言ってますが、俯瞰をしたり、気になる箇所はお客様一人ひとりを見るといった、頻繁な視点の切り替えが重要になります。

 また、分析はあくまでPDCAの一つであって、目的は収益を上げることです。そうなると、システム側としては、分析(check)した後、ユーザーの思考を妨げずに、すぐに実行(Action)に移せるようなシームレスな操作性(UI)は必須になります。

 たとえば、RFM分析で休眠顧客を発見したならば、その場でセグメント、すぐに対象者にメールを送り、リアルタイムに反応を見るといった、掘り起こし施策がすぐに行えたほうがいい。

藤原:弊社としては、これから貯まるデータを元にどのような施策を検討するか、楽しみにしています。

鈴村:私も楽しみです。まずはベースメイクやスキンケア商品で施策をされるとのことですが、どのような取り組みになる予定ですか?

藤原:まず、4つの戦略商品を設定し販売する予定です。大きく分けるとベースメイク商品と、スキンケア商品。どう違うかと言うと、スキンケアは定期メンバーがメインの商品で、登録していただいて継続的に購入いただく商品です。ベースメイクはワンショットで、なくなった段階にメールで勧誘する、という商品です。特にスキンケアの商品では、プロアクティブでの実績を活かし、シナリオを作ってステップメールを構成して販促をします。

 この施策を行ってデータが貯まってきた段階で、それぞれの商品を購入された方が、どの商品を一緒に購入されているのかといったことも分析を行い、クロスセルやアップセルを行いたいですね。ベースメイクと一緒にクレンジングを購入されているか、というようなデータの中で、どのようなお客様に何をお勧めするメールを配信するか、といったことをやっていきたいと思います。これまで、商品感のマタギなどはデータをとっていなかったのですが、これらは連動すると感じています。

 また、これに併せてサイトの構成も再検討し、Web接客ツールの導入なども考えていきたいですね。

鈴村:そうですね。御社は、リアルで成功を収めてこられたブランドですので、オンラインでは今後の伸び代が非常にある状態だと思います。リアルとオンラインでは、取得できるデータ量がまったく異なります。アクセスログなどのデータが急激に増えるので、いかに施策の自動化を行ってデータを集め、既存のリソースで効果を最大化するためのPDCAを回せるかが、CRM戦略実践の第一段階です。そうすることで、シナリオの見直しなどの次のステップが見えてくると思います。

藤原:はい。それから、昨年LINE@の公式アカウントを取得し、現在、3,000人以上の友達が増え、売り上げもついてきています。このデータもカスタマーリングスとつなげていきたいですね。あらゆる取り組みを進めたいと思っていますが、CRMシステムによってデータが見えることで、こういった優先順位なども判断していきたいと思っています。

 まずは、LTVの最大化をテーマにし、広告では媒体別のLTVの計測を行い、顧客の獲得からリテンションまでストーリーで繫げることで、CPA、CPOの最適化を図っていきたいです。

 このストーリーを試行錯誤しながらPDCAを回すことこそ、マーケターの仕事であり、その中で生み出されたアイデアがうまくいった瞬間が、マーケティングの醍醐味だと思います。

鈴村:藤原さんは、既に豊富なアイデアをお持ちです。こうしたアイデアは、いかに早く実行できるかが非常に重要です。このように「アイデア→実行」というプロセスをいかに自動化して、スピードを上げられるかを、今後もサポートしていきたいと思います。(了)

 CRMシステム「カスタマーリングス」の詳細情報は⇒こちら

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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