前回は、AIとチャットボットの違いと現状についてお話をお聞きしましたが、今回はさらに進んでチャットボットの活用法について説明していただきました。プログラミングが必要となると面倒な気がしますが、シンプルな運用方法があるようです。
チャットサポートの運用負荷とサイト上の選択肢を減らす
森野 前回はAIとチャットボットについて説明していただきました。中小のECサイトでは、必要に応じて使い分けていけばよいというお話しでしたが、実際にチャットボットを使うとなるとどのようにすればいいのでしょうか。御社のチャットボット「Tagment」の事例などから教えていただければと思います。
大前 チャットボットで解決できることは、大きく分けてふたつあると考えています。ひとつは、いつ来るのかわからないチャットサポートの負荷を軽減してくれること。もうひとつは、サイト上の多すぎる選択肢を減らしてくれることです。
森野 チャットボットが勝手に注文を取って売ってくれるようなイメージがありますが、そんなことはないんですね。いきなり認識が違ってました……。ひとつ目のチャットサポートの負荷軽減についてはどのような流れですか?
大前 チャットサポートの問題は、担当者がはりつきになることです。対応しないといけないから他の業務ができないという課題があるので、チャットにはりつくのを辞めたがっている会社が多いのです。
私たちは0次対応(Tagment)、一次対応(人、チャット)二次対応(専門家、上長)と表現していまして、どの解決策がいいでしょうかと聞くわけです。その結果から電話か、チャットか、メールかと、ユーザーが好きなインターフェイスを絞り込み、どういう結果になったか、どこくらいでどこまでいったかを比率で分析をしていきます。
一次対応まで進むものがそれほどなかったことがわかれば、もっと効率が高いところにシフトするとかチャットサポートをやめようとか、お客様の課題を判断し、効率的に解決できるようになります。
森野 チャットサポートってユーザー側も迷いますよね。こんにちはと書くのか、すぐ質問を書くのか。
大前 「何かありましたら何でも答えます」と言われても、「じゃあ、何があるんですか」と言いたくなる(笑)。他人とチャットで話すことに慣れていない人が多く、相手が人とわかればわかるほど、伝わらないといけないとか、そのあたりが気になっちゃう人がいるんです。
若い人はチャットに慣れていて、どんどんチャットで問題解決がしたい人が増えると思いますが、可処分所得が高く、ネット上で購買意欲の高い人はそうでもないという現状があります。まだまだチャットには問題が多いのです。