コマースデザインの坂本さんと川村さんは、ネットショップコンサルとして活躍されており、EC業界では有名な「黄色本」の著者でもあります。そのおふたりに商品の売り出しかたをお聞きしたのですが、内容はLPやキャッチコピーの作りかたへと広がっていきました。
コピーはきれいすぎてどこにも引っかからないのが最悪
森野 ネットでの商品の売りかたっていろいろあると思うのですが、これをやってはいけない!といったものはあるのでしょうか? 商品画像が暗いとか、説明文が短いとか、基本的な部分は抜きにしてです。
坂本 中身のない言葉、たとえば「こだわり」と書くのはNGです。川村はこういう連載をやっていて、「こだわり」と書くなって言うんですよね。いわゆる紋切り型はやめようと。こだわりって書いて、表現したつもりになってないかと。
川村 こだわり撲滅委員会です。
坂本 新人社員がうっかり「こだわりの……」と言うと、社内がザワッとするんですよ(笑)。
森野 こういった考えかたって苦手な人が多いですよね。
川村 「真心込めたとか匠の味」のとかすぐに浮かぶじゃないですか。10個くらい。でも何味か、わからない。それって中身はなんでしょう?っていう疑問しかない。
森野 ああ……。商品を高く見せたい時に使うやつですね……。で、黒とか茶色系のページになって明朝体のコピー。
坂本 僕は大学時代のゼミの先生が、読売新聞記者出身の先生だったんですけど、「『列島に激震』『唇を噛んだ』などの紋切り型フレーズを安易に使うな」と言っていました。そのフレーズを初めて考え出した記者はすごいですけど、何でもかんでもに当てはめると、きれいすぎてどこにも引っかからなくなるんですよね。
川村 病院で流れるオルゴールのインストゥルメンタルの音楽のようですよね。
森野 ないと寂しい感じがするけどあっても頭に残らない、なるほど。スーパーの歌があるじゃないですか。こっちは意外と頭に残りますよね。私の地元で言えばヨシヅヤの歌とか。
川村 ドンキの歌みたいなのですよね。
坂本 まあ、あれは突っ込まれビリティっとも言えますけどね。突っ込まれることでレスポンスを得ていく。