ディノス・セシールCECO就任までのいきさつとは
――2016年1月まで、TUKURUという会社の代表で、お菓子の材料を販売する「cotta」というECサイトを運営されてましたよね。
はい、cottaの運営がある程度仕組み化できましたし、ビジネスとしても、外部企業との連携やお客様から見えるわかりやすいサービスの部分を強化していくフェーズになっていました。だから、僕らEC運営チームとしては、別の企業で、持っているアセットを活かす方向に行きたいと考えていたんです。
ディノス・セシールのEC企画部ゼネラルマネジャーである井筒とは、以前から知り合いで、そんなふうに考えていると話したところ、「うちに来て、手伝ってよ」と言ってもらえたのがいきさつです。ありがたいことに他の企業さんからもお話があって、僕らとしてはどこにお世話になるか選べる状況だったのですが、井筒をはじめとした経営企画本部や人事からも熱心に誘ってもらえたことと、僕らが経験したことがないビジネスを構築していることから、ディノス・セシールにお世話になることにしました。
――石川さんが「僕ら」とおっしゃるのは、cottaを正社員10名ほどで運営していた少数精鋭のECプロ集団のことですよね。その大半がディノス・セシールさんに引っ張られたと。
今、EC人材が売り手市場だと思います。やっている仕事は地味ですが、持ち上げてくださるメディアも増えてきているし、目立つ方たちもいらっしゃるので、「地合い」がいいんじゃないですかね。
――石川さんの肩書としては、CECO(Chief e-Commerce Officer)ということで、何をやるんですか?
ひとことで言うと、ディノス・セシールのECを強化していくためにジョインしています。まず、ディノス・セシールのビジネスを簡単に説明すると、カタログとテレビのコンテンツを作り、それをフックにお客様に購入していただくというもの。それを象徴するように、ディノス・セシールの売上は「カタログ売上」「テレビ売上」の2項目で計上されています。ウェブ比率が5割くらいになっているのに、「ウェブ売上」がないんです。日本でもトップクラスの売上をウェブで上げている企業が、ウェブ売上としては計上しないという。その理由は、ウェブが受注チャネルのひとつという認識だからです。カタログやテレビで作った売上の受注手段が、電話か、はがきか、ウェブかという文脈でしか、ディノス・セシールのECは語られていない。
一方僕らは、ずっと専業ECでやってきました。ウェブの中でタッチポイントを作り、コンテンツ訴求し、モチベーションを上げ、コンバージョンしてもらう、すべてウェブで完結するビジネスです。ディノス・セシールでは、厳密に言うと、まだそのモデルをやっていないんです。
商材はもちろん、フルフィルメントも含めたインフラを見ましたが、日本でもトップクラスの環境が整っています。それを使って、ひとつのお店としてのECサイト、サービスをする場所を運営するのが、僕らの仕事になると思います。受注チャネルのひとつではなく、ひとつのサービスとして運営するわけです。
――そのECを運営する部署が、経営企画本部にあるのが興味深いです。
EC企画部事体も、2016年1月にできた部署です。トップが経営方針として、2016年はECにちゃんと取り組もうと掲げ、その象徴のひとつがEC企画部なんです。ですから、既存のビジネスにはほぼ絡んでいません。既存の受注チャネルとしてのECには、経験豊富なマーケティング部隊がすでにいますから。
とはいえ、お客様が「ディノス・セシールのウェブで買い物するのも楽しいじゃない」というサービスを作るというのは、ウェブに携わっている以上、既存チームともコンセンサスを作っていかなくてはならないので、そこは一緒にやっていきたいと思っています。