UGCだけでは足りない?注目すべきは「EGC」
国内外でUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)をECページに掲載する動きが主流になってきました。たとえば、米国のアパレルブランド「Aerie」は、UGC導入後にコンバージョン数が20%増加しました(参考: Aerie case study)。この成功は、ブランドに共感を寄せる「人の声」がどれほど購買行動に影響を与えるかを物語っています。
さらに、最近ではUGCだけでなくEGC(Employee Generated Content)、つまり「中の人(社員)」が商品やブランドについて語る動画やライブ配信が注目されています。具体的に有効なEGCを3つ紹介します。
・開発者が語る「なぜこの成分にこだわったか」
・カスタマーサポートが語る「お客様のリアルな声」
・倉庫スタッフが語る「出荷時に心がけていること」
こうした等身大の声こそ、動画を通じてブランドの信頼や親しみを育てる力になります。きれいに整えられた“広報的な言葉”よりも“現場のリアルな声”が、ファンの心に深く刺さる時代に、いま入ってきています。
動画コマース実施前に見ておきたいチェックリスト(設計編)
まとめに入る前に、動画コマースに取り組む前に見ておくべきチェックリストを、視聴導線と感情導線に分けて作りました。いきなり動画を作り始めず、効果的な動画を発信するためにも、ぜひこちらをチェックしてください。
【視聴導線】──「誰に、どこで、どう届けるか?」
・配信・投稿するチャネルは、ターゲットの行動習慣に合っている(例:TikTok、Instagram、YouTube、ECサイトなど)
・想定視聴者(ペルソナ)は明確に設定されている
・冒頭数秒で興味を引く工夫(問いかけ、映像、キャッチコピーなど)がある
・視聴後に取ってほしいアクション(購入、保存、シェア、フォローなど)が明示されている
【感情導線】──「どんな気持ちを動かしたいか?」
・動画によって喚起したい感情(共感・信頼・驚き・楽しさなど)が明確
・一方的な商品説明ではなく、“視聴者との関係性”を意識した構成になっている
・実際の社員・スタッフなど「中の人」の視点や言葉が盛り込まれている(※該当する場合)
・商品そのものより、「使った後の未来」や「ストーリー」を伝えている
・動画全体のトーンや世界観が、ブランドイメージと一致している
まとめ:動画は「ブランドと語り合う場」に進化
これからのEC動画は、商品説明や演出ではなく、ブランドと顧客の“対話”を作る場へと進化しています。「映える動画」ではなく「つながる動画」が、「とにかく数」ではなく「意味ある体験」が今後求められてきます。

動画の中で語られるちょっとした“人の声”や“想い”が、ユーザー一人ひとりの心を動かし、ブランドとの関係性を深める。そんな1対1のコミュニケーション設計こそが、これからの動画活用に求められています。
データに裏付けされた成果を追いながらも、ユーザーの体温を感じられるような接点を作る。 それは、対面接客のような体験を、デジタル上でも再現するためのヒントにもなるはずです。
次回は、ライブコマースに潜む落とし穴を深掘りし、具体的な対策を一緒に考察していきます。