10万サイト以上が導入の「Amazon Pay」、その強みは
2015年に日本でリリースされ、10年を迎えた決済サービス「Amazon Pay」。自社ドメインのECサイトにAmazon Payを導入すれば、購入者はAmazonアカウントにログインするだけで商品の決済を完了できる。山本氏は、Amazon Payの強み・メリットを次のように説明する。
「購入者様が住所や支払い方法を入力する手間なく、簡単にお買い物を完了できます。また、EC事業者様にとっても、新規会員登録につなげられるメリットがあります」

一方で、導入を検討するにあたり、Amazon PayとEC事業者間における情報の取り扱いに不安を感じる事業者もいるだろう。この点について山本氏は「Amazonが受け取る情報は、決済金額のみ」「EC事業者が受け取る情報は、購入者の名前、住所、電話番号、メールアドレス」と説明する。Amazonに購買履歴は共有されず、EC事業者にカード情報は共有されない。
また、Amazon Payは提供開始以降も「決済手数料の引き下げ」「後払い機能の追加」などの改善を続けており、2万社、10万以上のサイトに利用されている(2024年3月時点)。導入事業者は、業種業態を問わない。物販に限らず、デジタルコンテンツや旅行商材といったオンライン決済に広く活用できる。

Amazon Pay利用者はEC利用頻度が高い?調査から見えた特徴
続けて山本氏は「Amazon Payの利用経験がある消費者」と「ネットショッピング利用経験がある消費者全般」のECにおける買い物頻度の比較調査の結果を紹介した。
「全体で見ると、週に1回以上ECで買い物する方は全体の7%、月に1回以上買い物する方も全体の半数程度です。男女別や年代別に見ても大きな差はありません。この買い物傾向をAmazon Payの利用経験がある方に絞りこむと、週に1回以上が23%、月に1回以上が8割以上となり、ECの利用頻度が3倍以上高い傾向がわかります」

同様に、商品カテゴリー別調査においてもAmazon Payの利用経験がある消費者の方が、全体平均よりも購入比率が高い傾向が見られた。これらの結果から、山本氏は「Amazon Payの利用経験がある消費者=ネット上での買い物意欲が高い」と推測する。
次に、Amazon Payを利用する可能性があるAmazonのユーザー層について、山本氏は以下のように言及した。
「Amazon.co.jpは、合計で7,800万程のMAUを抱えています。その内訳は、デスクトップで1,460万MAU、モバイルで6,430万MAUです(2023年時点※)。日本国内の世帯数は約5,000万といわれており、Amazon.co.jpは、毎月1世帯1アカウント以上の方々にアクセスいただいています」
※出典:Nielsen NetView 2023年3月度データ(ブランドレベル/家庭と職場からのアクセス)、Nielsen Mobile NetView 2023年3月度データ(ブランドレベル/スマートフォンからのアクセス)
このユーザーの内訳を細かく見ると、デスクトップユーザーは男性の比率が高く、モバイルユーザーは女性の比率が高い傾向にあるという。また、年代別に見ると男女ともに「40代以上」のユーザー比率が高く、「日本の平均年収よりも高い所得層」のユーザーが多いことも調査からわかっている。
つまり、Amazon Payの導入企業は、こうした多くのAmazonユーザーを対象に、自社ECサイトで簡単に商品を購入できる仕組みを提供できるのだ。
Amazon Pay を取り巻くEC決済の動向と実態
本プレゼンでもご紹介いたしましたネットショップの利用頻度を含む、日本におけるEC市場規模やAmazon Pay利用者プロファイルに関する資料を配布しております。無料でダウンロードできますので、ぜひ特設サイトをご覧ください。
コメ兵・GreenspoonなどがAmazon Payを高く評価する理由は?
次に山本氏は、EC事業者がAmazon Payを利用するメリットを3つ紹介した。
1つ目に挙げたのは、「安心して買い物できる環境を提供できる」だ。アカウントの乗っ取りや不正利用は、サイトの信頼性低下やチャージバックの増加につながるが、Amazon Payではそれらの不正対策、また不正発生時の保証も万全だという。一体、どのようなセキュリティ対策を講じているのか。
「Amazon Payでは、アカウントの多段階認証や不正注文の監視体制を整備しています。ただし、不正注文をAmazon側でブロック対応しても、なかなか0にはできません。不正注文が発生しまった場合は、一定の条件と調査のもと、保証サービスを提供しております」
山本氏は、セキュリティ体制が効果を発揮した「コメ兵ホールディングス」の導入事例を紹介。
「コメ兵様は、高額なブランド品を扱う特性上、不正利用のターゲットとして狙われやすい課題をお持ちでした。Amazon Payを導入いただいたことで『不正に関する確認作業が軽減した』と評価をいただいています。また、チャージバックに関するカード会社様からのお問い合わせも0に近い状態とのことです」
また、野菜中心のミールキットを展開する「Greenspoon」の事例では、Amazonブランドの信頼感を活かし、新規会員の獲得に成功した。
「Greenspoon様は2019年に設立されました。まだブランド名が多くの人に認知される前の段階では、利用者様がクレジットカード情報や個人情報の入力に不安を覚えるケースもあると想定したそうです。そこでAmazon Payを導入。決済への不安を払拭した結果、利用者数が拡大したとの声をいただきました。今でも約半数はAmazon Payから購入いただいているようです」
新規サービスの立ち上げ時や、認知度が全国圏には及ばないケースでは、Amazonの知名度と信頼性が新規会員の獲得に活きる。
スムーズな情報連携が離脱を防ぐ 会員数増加の秘訣
2つ目のメリットには「新規顧客の拡大」を挙げた。
「新規会員登録数の増加率に関する調査では、Amazon Pay導入店舗は、未導入店舗と比較して前年対比で57%高いという結果が出ています。Amazonアカウントの情報を連携して、そのままECサイトの会員登録ができる導線設計による、新規会員数が伸びを示したものです」

これを具体的に示す2つの導入事例が紹介された。女性用下着を取り扱う「ワコール」の事例では、導入後3ヵ月で、会員登録の通常導線と比較してAmazon Pay経由が20%も上回った。
また、クリエイターが簡単にグッズを作成し、販売・購入できる「SUZURI」のサイトでは、Amazon Pay導入によって、11ステップ必要だった会員登録を3ステップに改善。会員登録率も9.54%から11.07%に向上した。
「本来であればカゴ落ちで離脱していたお客様を、私たちのサービスで会員登録、購入につなげられる。そこにこそ、私たちの提供価値があります」
Amazon Pay を取り巻くEC決済の動向と実態
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サッカーショップ「KAMO」ではCVRが2倍に 決済が購買にもたらす効果
3つ目のメリットは、「CVR(成約率)の改善」だ。ここでは、月間注文件数の増加率についてAmazon Pay導入店舗の方が、未導入店舗よりも前年対比で平均38%伸びたという調査結果が報告された。この調査結果を裏付ける2つの導入事例が山本氏より紹介された。

「サッカーショップの『KAMO』を運営される加茂商事様の事例では、Amazon Payを導入されて、CVRが2倍近く向上したとご報告いただいています。特に新規購入者の50%以上がAmazon Payをご利用されているとのことで、新規会員登録につながる価値を提供できているのではないでしょうか」
また、映画のチケット予約サービス「ティ・ジョイ」では、Amazon Payの導入によりスムーズな利用導線の実現とCVRの向上につながっているという。たとえば通常、サービスを2回目以降に利用する場合、パスワードを覚えておく必要がある。
しかし、初回にAmazon Payで会員登録すれば、それ以降はAmazon IDを使ってスムーズにログイン可能になる。ティ・ジョイでは、Amazon Pay利用者の増加によって、LTV(顧客生涯価値)が向上したという。
Amazon Payは、決済ツールとしての役割を果たすだけでなくマーケティング効果をも生む。山本氏は「マーケティングコストと置き換えて、Amazon Payを導入するのもひとつの手」と提案した。
最後に、Amazon PayをQRコードで読み取れるようにしてOMOを実現した寝具メーカー「西川」のショールームにおける事例と、同じくQRコードを活用した「コカ・コーラ」社自動販売機のインバウンド対応について事例が紹介され、本セッションは締め括られた。
Amazon Pay を取り巻くEC決済の動向と実態
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