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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

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サントリーの“消耗品でも忘れられない”ある施策 日本人は「NRF 2025 APAC」で何を語ったか

 2025年6月3日~5日にシンガポールで開催された「NRF 2025: Retail's Big Show APAC(以下、NRF 2025 APAC)」で、日本からの登壇者がユニークな成長戦略を披露した。本レポートでは、差別化と新たな顧客接点の創出を軸にビジネスモデルを切り拓くファミリーマート、そしてオンライン・オフラインを行き来する顧客との関係構築に挑むサントリーとLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(以下、LVMH ジャパン)が語った施策を紹介する。

ブランドを意識されづらいコンビニ業界 選ばれる決め手は

 コンビニエンスストアといえば、もはや日本の文化の一部といって良いだろう。大手がしのぎを削る、競争が激しい市場。その名のとおり、多くの消費者が利便性に魅力を感じて利用する。言い方を変えると、個性を際立たせた差別化は容易ではない。それでも独自路線を見つけ出したのが、ファミリーマートだ。同社の小竹氏が「NRF 2025 APAC」で裏側を明かした。

(右)株式会社ファミリーマート 取締役 専務執行役員 CSCO サプライチェーン 兼 直営店プロジェクト室長 小竹伸氏
(右)株式会社ファミリーマート 取締役 専務執行役員 CSCO サプライチェーン 兼 直営店プロジェクト室長 小竹伸氏

 同社は、2019年より「コンビニエンスウェア」としてアパレル商品を拡充。ハンカチや下着といった小物のみならず、Tシャツ、パンツなど実店舗の一角がアパレルショップと化している。中でも同社のコーポレートカラーが入ったラインソックスは、2025年2月末時点での累計販売数が2,400万足を超えた。

 こうした取り組みにより「厳しい市場環境にもかかわらず事業は非常に好調」と小竹氏は話す。2025年5月度の営業報告によれば、45ヵ月連続で既存店の日商が前年を上回り、過去最高益を記録した。背景にあるのが、まさに独自路線の開拓だ。

「日本のコンビニ業界は模倣の海です。大手コンビニチェーン同士が、お互いの施策や商品を真似し合って競争してきました。ほとんどの消費者は、他カテゴリーと比較するとコンビニのブランド名をさほど意識していません。そんな中で頭一つ抜け出るにはどうすれば良いか。私たちが見出した答えは、独自の商品やサービスを生み出すことでした」(小竹氏)

 近年、ファミリーマートは“コラボレーション”を重視してきた。コンビニエンスウェアのクリエイティブディレクターに、「NIKE」などと協業した経験があるファッションデザイナー・落合宏理氏を起用。さらに2025年2月には、ライフスタイルブランド「HUMAN MADE」の創業者・NIGO氏との連携を発表した。次世代店舗の創造、マーケティングキャンペーン、新商品のデザイン、オリジナル音楽やオリジナルキャラクターフィギュアの制作など、多様な分野で協業する予定となっている。

「これが、ファミリーマートが小売業界で地位を確立する上での“ゲームチェンジャー”となるでしょう。従来の枠組みを飛び越え、コンビニをライフスタイル“インフラ”へと進化させます」(小竹氏)

 実際、クリエイターの力を借りることで同社のアパレル事業は大きく拡大している。今後は、毎年少なくとも30%ずつ売上を伸ばす計画だ。

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毎週6,400万人の顧客にリーチ ファミマのリテールメディアの現在地

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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