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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

サントリーの“消耗品でも忘れられない”ある施策 日本人は「NRF 2025 APAC」で何を語ったか

オンライン購入者も最後の接点は販売員 愛着度を高めるOMOの仕組み

 サントリーと同様に、LVMH ジャパンも顧客とのつながり方において発見があった。具体的には4つのキーワードに分けられる。

 一つ目は「チャネル横断型」。世代を問わず、顧客はオンライン・オフラインのどちらも利用しているとわかった。ラグジュアリー商品を実店舗で購入していた顧客は、のちにECサイトなどオンラインチャネルへと買い場を変えていく。もちろん、その逆の行動も見られる。

 二つ目は「ブランドの優位性」。遠藤氏は「ウェブサイトもアプリも“公式”が1番信頼されるチャネル」と説明した。また、三つ目は「オンラインによる顧客接点の増加」だ。オンラインで商品を購入する顧客ほど、多くの情報源を参照する傾向があるという。

 そして特に注目すべきなのが、4つ目の「販売員の重要性」。オフラインのみならず、オンラインの顧客にとっても、販売員による接客が購入の決め手となっていたのだ。「オンラインで商品を購入したお客様も、最後の接点が販売員もしくはCSだった」と遠藤氏。

「ブランドの特別感をわざわざお客様に伝える必要はありません。そもそも、お客様が決めることだからです。値段ではなく、お客様からの愛着がすべて。だから、販売員を通じた人間的なつながりが必要なのです」(遠藤氏)

 こうした人間的なつながりを通じて、ラグジュアリー体験に紐づく特別な所有欲やステータスを提供するLVMH ジャパン。一方、消耗品でありながら飲用後の記憶や心地良い体験として心に残ることを目指すサントリー。どちらも愛着の醸成を重視してOMOを推進している点は共通している。

「日本の消費者は価格を重視する方が多いです。特に、ラグジュアリー業界では再販のニーズが非常に高い。私は、このトレンドが変わるべきだと考えています。商品ではなく、ストーリーや作り手の愛を届けているからです」(遠藤氏)

「消耗品だからこそ、実際の体験とともに届ける。それによって、より深いエンゲージメントや感情的なつながりを実現できるはずです」(稲葉氏)

 このように、商品の性質を超えて顧客の心に寄り添い、一貫した愛着を育む顧客体験の設計こそが、多くの企業が目指すLTV(顧客生涯価値)向上への道筋となる。OMOは、そのための強力な手段といえるだろう。

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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