毎週6,400万人の顧客にリーチ ファミマのリテールメディアの現在地
ファミリーマートの事例で、もう一つ注目したいポイントがある。店頭のコンテンツだ。ファミリーマートの一部店舗では、レジ上などにサイネージが設置されている。そこで、オリジナルコンテンツを配信しているのだ。
「既に1万店以上に設置しており、毎週6,400万人の顧客にリーチしています。平均認知率は50%以上。若年層では特に高く、10代で約69%、20代で約66%にのぼります」(小竹氏)
配信されるコンテンツは、必ずしも商品やサービスの紹介に限ったものではない。ミュージックビデオなどのエンタメ情報やニュース、さらには特定の地域に絞ってコンテンツを出し分けている。
具体的には、大学生向けの就活情報、求人募集などの広告だ。今後は、こうした地域特化型のコンテンツを増やしていく方針だという。小竹氏は「実店舗をメディアプラットフォームにしたい」と語る。
現在、広告主の70%が、ファミリーマートで商品やサービスを販売しているわけではない“ノンエンデミック”。全国展開している点、視聴者の反応を追跡調査できる点で、魅力を感じる広告主が多いようだ。
アパレル商品の販売やクリエイターとのコラボレーション、コンテンツ制作と、単なる“コンビニエンス”な場所から脱却しようとしているファミリーマート。同社の取り組みからは、人口に対して多くの企業やブランドがひしめき合う日本市場において、差別化がいかに重要かがうかがえる。
「だからこそ、トップレベルのクリエイティブ人材を経営とビジネスプロセスに結合する必要があるのです。今後、日本だけでなくグローバル市場にも挑戦できるクリエイターチームを編成します」(小竹氏)