K-Beautyの勢いはどこにあるのか? 韓国・ソウル視察から見えたこと
日本でドラッグストアやバラエティストアのコスメ・スキンケア売り場を見て、韓国コスメ・ビューティー(以下、K-Beauty)のラインアップの多さに驚いたことはないだろうか。特に近年、大手ドラッグストアでもK-Beautyのコーナーが別途設けられるなど、その勢いはめざましいものがある。
近年は、日本でもD2Cブランドが自社ECから販路を開拓し、小売に進出する新たなサクセスストーリーが生まれている。しかし、K-Beauty企業のすごさは新ブランドや新商品が次々と生まれる点にあるといえるだろう。その秘訣はどこにあるのか、韓国・ソウルを訪れて少し見えたものがあったため、統計的な資料なども絡めながら市場環境をレポートする。
世界3大化粧品大国を目指す韓国 目標策定は政府主導で
まずは、韓国にとってコスメ・ビューティー産業がどのような位置づけなのか探ってみよう。「BUSINESS KOREA」の記事によると、韓国の化粧品輸出額は2023年に85億ドル(前年比6.4%増)、化粧品生産量は14兆5,102億ドル(前年比6.8%増)に達し、今や世界第4位の輸出量を記録している。
国土の狭さや日本以上に少子高齢化が進む背景から、韓国企業が成長を図るにはグローバル化の推進と輸出額の増加が欠かせない要素となっている。主な輸出先は中国、米国、日本だが、中国向け輸出は近年減少傾向にあるのが実情だ。グローバル進出を進める各社も、近年は北米やヨーロッパ、中国を除くアジア圏に照準を定め、展開を進める傾向にあるという。
韓国政府も、K-Beauty企業の成長支援に積極的だ。2019年には、政府主導で化粧品産業を盛り上げるべく「未来化粧品産業育成方針」と呼ばれるプランを策定。2021年には、これをさらに発展させた「K-Beauty革新総合戦略」を発表している。
同方針・戦略案には、韓国を世界3大化粧品輸出国にする旨や、それを実現するための重点推進課題としてエコシステムの形成、企業活動の支援などといった項目が掲げられている。こうした支援策が始まって5年目の2023年に、世界第4位の輸出量を記録しているのは、活動が実を結んでいる証拠といっても過言ではない。
しかし、グローバル進出を果たし順調に売上を伸ばしているのは、大手を中心としたごくわずかな企業だ。そこで韓国政府保健福祉部は、国内の約8割を占めるといわれている中小・新興K-Beauty企業を支援すべく、2021年よりオープン型体験スペース「BEAUTY PLAY」をソウル・明洞の中心部近くに展開している(運営は財団法人大韓化粧品産業研究院が実施)。
