SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

世界3位以内を目指す韓国コスメ産業 ソウル探訪でわかった国主導の支援策とホットなスポットをレポート

ライブ配信スタジオも無料で使える 中小・新興ブランド支援スペースに潜入

 BEAUTY PLAYは、商品の露出機会を増やしたいがリソースなどに課題をもつ中小・新興K-Beauty企業を対象に、韓国政府と大韓化粧品産業研究院がスペース出展の公募を実施。選ばれたブランド・商品は、企画ゾーンにて2ヵ月間の展示が可能となる。

オープン型ビューティー体験スペース「BEAUTY PLAY」の展示の写真
来訪した時期は、PANTONE社による2025年のトレンドカラーが発表になった後だったため、カラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたモカ・ムースカラーの商品をそろえたコーナーが設けられていた
オープン型ビューティー体験スペース「BEAUTY PLAY」の展示の写真
フレグランス類を扱うスペースは上質感漂う内装を施すなど、空間作りの工夫もなされている

 2ヵ月に1回選定される企業は35社。年間で210社ほどがBEAUTY PLAYに出展できる計算だが、参加希望企業は3,000社ほど存在するとのこと。ここにも、K-Beauty企業の熾烈な争いが垣間見られる。

「BEAUTY PLAYには、年間約3万人が訪れます。明洞のほかに弘大(ホンデ)にもスペースを有しており、韓国語・日本語・英語の3ヵ国語に対応していますが、明洞店の来場者の9割は日本人です。2店舗合わせても7割が日本人で、K-Beautyへの関心の高さがうかがえます」(BEAUTY PLAY担当者)

 消費者の来場動機を生み出すため、ここでは商品展示やサンプルを試す場だけでなく、次のような様々な体験が提供されている。なお、これらはすべて無料で受けることが可能だ。

  • メイクアップ/タッチアップサービス(ベースメイク、アイメイク、リップメイクから選択)
  • パーソナルカラー診断
  • 肌診断
  • ビューティーセミナー
  • フルメイクサービス ※外国人向け予約制

「パーソナルカラー診断と肌診断はキオスク(情報端末)で提供していますが、診断結果をもとに適した商品のアドバイスをスタッフから受けることもできます。

 商品販売は基本的にここでは行わず、展示スペースに設置された二次元コードからECサイトに遷移して購入いただく流れを取っていますが、実店舗をもたないブランドが顧客接点創出のために土日にBEAUTY PLAYで出張販売を行ったり、ブース内でPOPUPを展開したりするケースも存在します。また、ライブ配信スタジオも完備しているため、K-Beauty企業はここからオンラインへの情報発信を行うことも可能です」(BEAUTY PLAY担当者)

オープン型ビューティー体験スペース「BEAUTY PLAY」展示スペースの様子
気になる商品を見つけた場合は、二次元コードからECサイトに遷移して購入が可能。二次元コードが印刷されたボードには、越境EC購入が可能な国・地域も記載されている
オープン型ビューティー体験スペース「BEAUTY PLAY」内に設置されたライブ配信用スタジオ
この日はちょうどライブ配信に向けた準備がスタジオ内で行われていた

 観光客や一般消費者にも開かれているBEAUTY PLAYだが、東南アジア・欧米からはバイヤーも多く訪れているそうだ。大韓化粧品産業研究院は海外輸出支援事業も手がけているため、BEAUTY PLAYの一角に商談用の会議室を設け、中小・新興K-Beauty企業には無料で貸し出しを行っている。

「日本は輸入取引の許認可が難しいため、現状は越境ECでの購入が多いですが、個人旅行で訪れたバイヤーの方が卸先に売り込んでくれるなどして、商談につながることもこれまでにありました。中東も個人バイヤー経由で商談が進むケースが多いです。BEAUTY PLAYは、これまでにたくさんの中小・新興K-Beauty企業と海外取引先・消費者との出会いを生んできました」(BEAUTY PLAY担当者)

 K-Beautyが勢いづいている裏には、国を挙げた手厚い支援があることが本施設の視察からうかがえた。スピーディーに世界で頭角を現すには、やはり各社の努力だけではなく産業全体を盛り上げるため、より大きな枠組みからの後押しが必要なのだろう。エコシステム形成の方法には、日本にも見習うべき点があるように感じられた。

次のページ
韓国の“今”がわかる聖水を探訪 ブランド思想が見える3店舗を紹介

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
押さえておきたい!ECトレンド図鑑連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/16637 2025/05/22 07:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2025年6月12日(木)10:00~17:25

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング