自社ECだけでは不十分? 最初のハードルを下げる“売り場選び”
越境ECの方法には、自社ECサイトで実施する、代理購入や転送サービスを活用するパターンがあります。これらは、あくまでも日本国内のECサイトを通じた越境ECです。一方で、海外のECプラットフォームを活用することもできます。
海外消費者にとって、自国でEC展開しているプラットフォームは身近な存在ですし、利用しやすい点でメリットがあります。販売する側にとっても、より多くの消費者にアプローチできるため、自社製品が消費者の目に触れやすくなります。
昨今は、海外のECプラットフォームへの出品を支援する企業やメニューも増えてきました。以前よりもハードルが低くなったといえるでしょう。なお、相手国の政府やECプラットフォーム側の規制で現地企業との提携が必須なケースがあるため、注意が必要です。
私が海外ECプラットフォームの活用をおすすめする理由は、TemuやSHEINなどに対抗する有力な手段だからです。TemuやAliExpressは、越境ECプラットフォームとして世界各国で認知されています。残念ながら、同じような存在は私の知る限り日本にはありません。そこで、海外のECプラットフォームを上手く活用してみよう、ということです。
各国で人気なECプラットフォームを見極める
海外のECプラットフォームを活用するとはいえ、どれでも良いわけではありません。対象国で人気のある売り場を見極める必要があります。
次の表は、国別でECプラットフォームシェアを推計したものです。アメリカ、イギリス、ドイツでは、いずれもAmazonがトップです。一方で、東南アジアの国々ではShopeeやLazadaが人気だとわかります。AmazonやShopee、Lazadaを除けば、それぞれの国には固有のECプラットフォームが存在していることも見て取れます。

海外のECプラットフォームの活用は、特定の国にターゲットを絞ることを意味します。その前に、自社製品がどの国の消費者にニーズがあるのか、事前に把握するのは容易ではありません。そこで、はじめは日本国内の自社ECサイトで越境ECをスモールスタートし、どの国からニーズがあるのかテストマーケティング的に探る手法もあります。手ごたえのあった国に絞って、現地で人気の高いECプラットフォームを活用するというシナリオが考えられます。
この方法だと、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。もちろん、二刀流で両方の手法を同時に行っても問題はありません。あらゆる手を尽くすことで、中国勢に席巻される世界の越境EC市場に、日本企業が大きなくさびを打ち込んでもらいたいと願っています。