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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

ECアナリスト・本谷知彦が解説 越境ECの今と未来

「日本製品は世界で売れている」の勘違い 越境EC市場で取るべきポジションと“選ばれる理由”のつくり方

 海外消費者に「日本から買いたい」と思ってもらうには、何が必要なのでしょうか。世界を見渡せば、越境ECの30%以上は中国製品が占めています。一方で、日本は「その他」に埋もれているのが現状です。株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 ECアナリスト 本谷知彦氏が、あらゆるデータを活用して越境ECの今と未来を考える本連載。今回は、日本企業が海外市場で価値を届けるためのヒントを、価格戦略、訴求手法、販売チャネルの選び方など多角的に解説します。

世界で大きなシェアを占める中国越境EC トランプ関税で逆風か

 IPC(international post corporation)が全世界41ヵ国の消費者を対象に行った越境ECに関するアンケートによると、中国からの購入が37%、次いでドイツ13%、アメリカ10%、イギリス8%、フランス4%となっています。

越境ECで最もよく購入している先の国は?
越境ECで最もよく購入している先の国は? 出典:IPC(international post corporation)「Cross-Border E-Commerce Shopper Survey 2023」を基に作成(Statista経由で取得) n=3万2,510(41ヵ国の消費者が対象)

 このグラフには残念ながら日本は入っておらず、その他28%に含まれています。アンケートの対象国数を考慮すると、最大でも3%ということです。ご覧のとおり、世界の越境EC市場の3分の1以上は中国が占めているのです。

 この数値は「どの国からよく購入するか」という質問に対する回答結果です。これに加えて、仮に金額ベースでシェアを推定しても、中国が占める割合はおそらく同程度ではないかと私は予想しています。

 TemuやSHEIN、AliExpressなどの中国系越境ECプラットフォームでは、どの商品も販売単価が安いです。価格だけを見れば、中国のシェアは37%を下回るように思えます。しかし、それを補うレベルで世界中の消費者からの購入頻度が多いのでしょう。とはいえ、購入頻度に関する信頼できるデータが見当たらなかったため、断片的な情報に基づく私の予想である点をご了承ください。

 いずれにせよ、中国の安価な製品が世界を席巻している状況に変わりはありません。日本は、そのような中国越境EC勢と対峙せざるを得ないのです。

 そんな中、越境ECを検討する日本企業にとって悩ましい事態が発生しています。トランプ大統領による関税政策です。

 アメリカでは、輸入品の申告額が800ドル以下の場合に、関税の支払いなどが免除される「デミニミスルール」があります。ところがトランプ大統領は、中国と香港に対して同ルールを2025年5月2日以降適用しないと発表しました。この政策は、Temuをはじめとする中国系越境ECプラットフォーマーにとっては大打撃といえるでしょう。必然的に、中国の越境EC企業は、アメリカ以外の国々に照準を合わせて売り込んでいくと考えられます

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この記事の著者

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 ECアナリスト 本谷知彦(モトタニ トモヒコ)

シンクタンク大和総研にてITの主任研究員、金融システム系コンサルタント等を経て、2013年より国内外の産業調査・コンサルティング業務にシニアコンサルタントとして従事。2017年担当部長兼チーフコンサルタントに就任。EC業界のスタンダードな調査レポートとなっている経済産業省の電子商取引市場調査を201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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