世界で大きなシェアを占める中国越境EC トランプ関税で逆風か
IPC(international post corporation)が全世界41ヵ国の消費者を対象に行った越境ECに関するアンケートによると、中国からの購入が37%、次いでドイツ13%、アメリカ10%、イギリス8%、フランス4%となっています。

このグラフには残念ながら日本は入っておらず、その他28%に含まれています。アンケートの対象国数を考慮すると、最大でも3%ということです。ご覧のとおり、世界の越境EC市場の3分の1以上は中国が占めているのです。
この数値は「どの国からよく購入するか」という質問に対する回答結果です。これに加えて、仮に金額ベースでシェアを推定しても、中国が占める割合はおそらく同程度ではないかと私は予想しています。
TemuやSHEIN、AliExpressなどの中国系越境ECプラットフォームでは、どの商品も販売単価が安いです。価格だけを見れば、中国のシェアは37%を下回るように思えます。しかし、それを補うレベルで世界中の消費者からの購入頻度が多いのでしょう。とはいえ、購入頻度に関する信頼できるデータが見当たらなかったため、断片的な情報に基づく私の予想である点をご了承ください。
いずれにせよ、中国の安価な製品が世界を席巻している状況に変わりはありません。日本は、そのような中国越境EC勢と対峙せざるを得ないのです。
そんな中、越境ECを検討する日本企業にとって悩ましい事態が発生しています。トランプ大統領による関税政策です。
アメリカでは、輸入品の申告額が800ドル以下の場合に、関税の支払いなどが免除される「デミニミスルール」があります。ところがトランプ大統領は、中国と香港に対して同ルールを2025年5月2日以降適用しないと発表しました。この政策は、Temuをはじめとする中国系越境ECプラットフォーマーにとっては大打撃といえるでしょう。必然的に、中国の越境EC企業は、アメリカ以外の国々に照準を合わせて売り込んでいくと考えられます。