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ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

ECアナリスト・本谷知彦が解説 越境ECの今と未来

「日本製品は世界で売れている」の勘違い 越境EC市場で取るべきポジションと“選ばれる理由”のつくり方

「本物らしさ」が強みになる 日本製品が伝えるべき価値とは

 中国の安価な製品が多く流通する市場で競争するには、否が応でも相対的なポジションを取る必要があります。その際に重要な要素の一つが、価格戦略です。中国製品に対抗して、同じように安価な価格で販売する、あるいは良いモノを相応の値段で販売します。

 次のグラフは、世界の消費者を対象とした、越境ECでの1回あたりの平均購入金額に関するアンケート結果です。1,600円以下が8%、1,600円~4,000円が21%となっており、合計すると4,000円以内は30%程度に過ぎません。

 一方で、1万2,000円~1万6,000円は11%、1万6,000円~2万4,000円は8%、2万4,000円~3万2,000円は5%、3万2,000円以上は6%となっています。1万2,000円以上がちょうど30%になるのです。つまり、安価な製品を好んで購入する消費者と、高額な製品を好んで購入する消費者数は、実は同程度だとわかります。こうした状況を踏まえて、日本企業の場合は、自信をもって良いモノを相応の価格設定で販売すべきだと私は考えています。

越境ECでの1回あたりの平均購入金額(160円/ユーロで計算)
越境ECでの1回あたりの平均購入金額(160円/ユーロで計算) 出典:IPC(international post corporation)「Cross-Border E-Commerce Shopper Survey 2023」を基に作成(Statista経由で取得)

 越境ECビジネスを展開するBeeCruiseの調査によると、海外消費者が越境ECで日本製品を購入する理由のトップは「自国で購入できないから(約80%)」です。同じく、越境ECビジネスを展開するZenGroupによるアンケートでも、「希少性」が日本から購入する理由の1位となっていました。

「~越境ECを利用する海外のお客様800名にアンケート~ 93%以上が、『アフターコロナ以降も越境ECを利用したい』
出典:BeeCruise「~越境ECを利用する海外のお客様800名にアンケート~ 93%以上が、『アフターコロナ以降も越境ECを利用したい』

 マーケティングの世界では、近年CEP(カテゴリーエントリポイント)が重要だといわれています。CEPとは、商品やサービスを購入する際に、消費者によって想起される状況や目的のことです。表に記述したとおり、「自国で購入できないから」「品質が良いから」「価格が安いから」といった理由の一つひとつが、CEPの要素だといえます。その中でも、「自国で購入できないから」や「希少性」は重要なポイントでしょう。

 ただし、TemuやAliExpressなどを見てみると、中国製品であるにもかかわらず、あたかも日本製品であるかのように販売されているモノも多数存在します。また、昨今は機能や品質が向上している中国製品も多いです。こうした製品の存在を十分に認識しておく必要はあります。

 模倣品ではなく、明らかに日本企業の製品であること、製品の効能・メリットなどを丁寧かつわかりやすく説明するのが大切です。たとえば、ショート動画で紹介するといったひと工夫があるだけでも、効果的なはずです。以前は言語が障壁となっていたかもしれませんが、今は生成AIによってスムーズに翻訳できる時代となっています。ショート動画でなくても、画像や文章で“伝える”。これで差がつくと思います。

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自社ECだけでは不十分? 最初のハードルを下げる“売り場選び”

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この記事の著者

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 ECアナリスト 本谷知彦(モトタニ トモヒコ)

シンクタンク大和総研にてITの主任研究員、金融システム系コンサルタント等を経て、2013年より国内外の産業調査・コンサルティング業務にシニアコンサルタントとして従事。2017年担当部長兼チーフコンサルタントに就任。EC業界のスタンダードな調査レポートとなっている経済産業省の電子商取引市場調査を201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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