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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

EC動向定点観測~物流編~

物流でUGCが創出できる 注目のEC×クリエイター施策に学ぶ“届け方”とマーケティング活用術

 EC事業者が押さえておきたい最新動向を、ジャンル別にお届けする「定点観測」。物流編では、株式会社オープンロジの伊藤秀嗣氏が解説します。今回取り上げるのは、物流をマーケティング要素の一つと捉える考え方と、具体的な施策例です。

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消費者の意識が変わり始めた今、ファン創出に効果的な梱包のひと手間

 あなたは普段、再配達サービスをどの程度利用しているだろうか。昨今、再配達は減少傾向にある。国土交通省が2024年12月に公表した調査の結果によると、同年10月の再配達率は10.2%だった。2024年4月の前回調査と比較すると、0.2%改善されている。また2023年10月と比較すると、0.9%の減少が見られた。少しずつではあるものの、人々が物流の負担を軽減しようとする様子がうかがえる。

 東京都は、2024年11月に「宅配便の利用等に関する意識調査」を実施している。2025年1月に発表された調査結果では、消費者の70%以上が再配達を「あまり・ほとんど利用しない」と回答。また、再配達を減らすために心がけるようになったこととして、55.8%が「受け取りの日時指定をするようになった」、35.6%が「荷物の配達時間の在宅を意識するようになった」としている。

 特に、この調査結果の中で伊藤氏が「最も驚いた点」と指摘したのが、再配達削減への有効な手段に関する内容だ。「この質問に対して『再配達の有料化が有効』と答えた人が36%もいた」と話す。

「消費者の多くが、物流に手間とコストがかかっていると実感し始めています。その上で、送料の増加や配送遅延などが発生する状況を、受け入れつつあるのではないでしょうか」

 前回の定点観測で、伊藤氏はAmazonや楽天市場、ZOZOTOWNといった大手ECプラットフォーマーの動きに着目。これらのサービスが、物流を他社との差別化戦略の一つと捉え始めている状況を解説した。2025年問題が本格化し、事業者だけでなく一般消費者の物流に対する意識も変化してきたといえる。

 物流が日々の買い物において欠かせない要素であると、改めて認識されつつある。そんな今だからこそ、物流を通じた+αの体験を提供できれば差別化につながるはずだ。実際、物流をマーケティング施策に取り入れる事業者も増えてきている。

 たとえば、ZOZOTOWNではこの数年、年明けに興味深いキャンペーンを実施している。ZOZOTOWNで5,000円以上購入、かつ同サービスの公式Xアカウントをフォローしている顧客の一部に、白い箱で商品を配送。受け取った顧客が箱の写真を「♯ZOZOSALE箱CP」とハッシュタグ付きでXに投稿すると、抽選で10万円分のZOZOポイントがプレゼントされるというものだ。このほかにも、赤い箱で届くと購入金額分のZOZOポイントが還元されるといったキャンペーンも行われている。

 ZOZOTOWNといえば、黒地に白字の箱がトレードマーク。通常とは異なる梱包材で“特別感”を演出した事例といえるだろう。その効果か、当選者が10名限定だったにもかかわらず、X上には投稿があふれ、結果的に多くのUGCが生まれた

「梱包材の工夫だけでも、熱量のあるUGCが自然と生まれることがあるのです。物流は、もはやモノを届けるだけでなく、顧客のロイヤリティを高めるコミュニケーションツールの一つに進化しています」

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あえて○○で配送 謎解きゲームなど展開の「第四境界」が物流で生む世界観

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/16564 2025/05/15 07:00

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