アドビは、Adobe Summitにおいて、AIエージェントと製品戦略を発表した。「Adobe Experience Platform(AEP)」を変革し、エージェント機能を搭載することで、マーケター向けに用途別のAIエージェントの利用を促進。これにより、ウェブサイトの最適化、リサイズのような定型的なコンテンツ制作の作業、ターゲットオーディエンスの設定、チャネルエクスペリエンスの設定・最適化、コンテンツやデジタルメディア制作の大規模供給が可能になる。
なお、同社は初めてのブランドセントリックなAIエージェント「Brand Concierge」も発表した。Brand Conciergeは、チャットボットやウェブベースのエージェントを進化させ、より高度なエージェント体験を可能にするとのこと。また、ブランド特性と顧客データに基づき、ブランドコンシェルジュ体験を各顧客にパーソナライズして提供できる。
「Adobe Experience Platform Agent Orchestrator」と用途別のAIエージェント群
Adobe Experience Platform Agent Orchestratorは、アドビまたはサードパーティの複数のAIエージェントを構築、管理、連携が可能となっている。AIエージェントはAEPを基盤とし、顧客データやコンテンツを深く理解。動的かつ適応的な推論を可能にする意思決定科学・言語モデル、複数エージェントのコラボレーションをサポートする。
AEPのデータは「Experience Data Model」スキーマのもとに集約されている、関連しないデータからも意味を導き出し、インパクトのある顧客体験を実現する。これにより、企業は価値実現までの時間を短縮できる。
加えて、アドビはエンタープライズアプリケーション内で、直接活用できる一連の「Experience Platform Agents」も発表した。Adobe Experience Platform Agent Orchestratorを基盤とするこれらのAIエージェントは、「Adobe Real-Time Customer Data Platform(CDP)」「Adobe Experience Manager」「Adobe Journey Optimizer」「Adobe Customer Journey Analytics」などのアプリケーションを強化する。
用途別の10のAIエージェント
- Account Qualification Agent:企業のBtoBビジネスをサポートし、新たな案件を評価・促進する。これにより、営業パイプラインを構築する。また、重要商談の購買グループの主要メンバーとのエンゲージメントを強化する
- Audience Agent:複数チャネルのエンゲージメントデータを分析し、目標に沿ったより価値の高いオーディエンスセグメントに最適化する。こうして得られたセグメントは、大規模なパーソナライズキャンペーンに活用できる
- Content Production Agent:あらかじめ定義されたブランドガイドラインに沿った上で、ブリーフに基づくコンテンツの生成や構成を行う
- Data Insights Agent:組織全体に散在するシグナルからインサイトを導き出すプロセスを簡素化し拡張することで、顧客体験の設計者が戦略を視覚化、予測、修正できるようにする
- Data Engineering Agent:データ統合、データクレンジング、セキュリティなど、大量のデータ管理タスクをサポートする。これらは、組織全体に散らばる異種データを継続的に接続する複雑な作業となっている
- Experimentation Agent:パーソナライゼーションチームが新しいアイデアを仮説化したり、アイデアのシミュレーションや影響分析を行ったり、アイデアをアクティブにテストするためアプリケーションに接続したりできる
- Journey Agent:カスタマージャーニーのアイデア検討、分析、最適化の各段階でタスクを推進する
- Product Advisor Agent:顧客それぞれの嗜好や過去の購買履歴をベースに製品を探し、検討する段階の体験を改善する
- Site Optimization Agent:顧客エンゲージメントを高めるために問題を常時自動的に検出し、推奨し、修正する
- Workflow Optimization Agent:進行中のプロジェクトの健全性をモニターし、承認を合理化。ワークフローを高速化することで、生産性の向上とチーム間のコラボレーションをサポートする
BtoCおよびBtoB向け「Adobe Brand Concierge」
Adobe Brand Conciergeは、AEP Agent Orchestratorを基盤としたAI搭載ソリューションであり、企業は没入感のある会話型の体験を通じて商品の検討から購入まで消費者をガイドするAIエージェントを構築・管理できるようになる。このソリューションはマルチモーダルで、テキスト、音声、画像に対応したインタラクションをサポートしながら、AIによって感覚的なおすすめや比較を提示できる。
また、AEPから得られる包括的なインサイトや「Adobe Experience Manager」のブランド体験のほか、サードパーティソースにより「Product Advisor Agent」などは信頼性の高いファーストパーティデータとブランドコンテンツも活用。ユーザーのコンテキストとブランド嗜好に応じてパーソナライズされた顧客体験を提供できる。
加えて、企業が持つデジタルコンテンツ上での顧客とのやり取りやセンチメント、行動、問題点に関するインサイトはAEPに蓄積され、全体的な顧客体験の改善に役立てられる。