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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

頑張る地方企業にフォーカス~北陸編~

地方のサッカークラブだからこそファン目線を大切に ツエーゲン金沢のグッズ戦略とEC改善の裏側に迫る

 EC化率の上昇・DXが進むにつれ、各地方でも取り組みの例が増えてきました。本連載では北陸地方に魅了され、自ら金沢に移住をしたLIFT合同会社 代表取締役の岡田吉弘氏が、日本ならではの伝統や文化を守りながら新しい挑戦をする事業者を紹介します。第2回は、石川県全域をホームタウンとするJリーグクラブ「ツエーゲン金沢」のクラブキャプテンとグッズ担当者に、商品開発・販売戦略やECリニューアルについて話を聞きました。

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J2所属時の入場料収入は下から2~3番目 でもグッズは売れていた

 「地域に根ざしたスポーツクラブ」を掲げるJリーグは、競技力の向上のみならず、地元社会の発展へ貢献することを大切にしてきた。その理念を体現する存在が、全国に拠点を置く各サッカークラブである。

 石川県全域をホームタウンとするツエーゲン金沢も、60あるJリーグクラブの一つだ。クラブの収益源は入場料やスポンサー収入など様々あるが、スタジアムなどで買えるオフィシャルグッズもその一つだ。人口減少が続く地方では、大都市圏と比べて観客動員やスポンサー獲得などの環境に恵まれないことが多く、グッズの売上が果たす役割も大きい

 元Jリーガーとして2015年~2022年までツエーゲン金沢に所属し、現在クラブキャプテンを務める廣井友信氏はこう語った。

「ツエーゲン金沢は、2023年までの9シーズンJ2リーグにいましたが、その間ずっと入場料収入は少なく、いつも同カテゴリー内の下から2~3番目だったと思います」(廣井氏)

ツエーゲン金沢 クラブキャプテン 廣井友信氏
ツエーゲン金沢(株式会社石川ツエーゲン) クラブキャプテン 廣井友信氏

 J3となった2024年から、ツエーゲン金沢は新設された屋根付きのサッカー専用スタジアムをホームグラウンドとしているが、2023年までは屋根のない陸上競技場をホームにしていたため、当時約2万人のキャパシティに対して3,000〜4,000人ほどのまばらな観客席の試合も多かった。北陸地方は雨も多く、集客は伸び悩んだ。

 一方で、ユニフォームをはじめとしたチーム関連のグッズ売上は観客数とは異なる動きをしていたと、ツエーゲン金沢でグッズ担当を務める眞道ろこ氏は話す。

「観客動員数に対してグッズの売上はそこまで低くなく、当時のJ2リーグの中では真ん中あたりに位置していたようです。分析してみるとお客様一人あたりの単価が高く、新しい企画にファンの方が反応してくださったり、リピートでご購入いただいたりといったことが多かったです」(眞道氏)

 一般的に、ファンやサポーターの人数とグッズの売上は比例することが多い。ロイヤルユーザーが頻繁にグッズを買い求めてくれる背景には、どのような工夫や施策があったのだろうか。

「私は2023年からグッズ担当になったのですが、就任して最初にやったことは、『自分がサポーターとしてこれまで何を買ってきたのか』『どんなグッズなら手に取りたいと思うのか』を改めて見直すことでした」(眞道氏)

 聞けば、眞道氏は神奈川県の出身で、小さい頃は家族と一緒に横浜F・マリノスの応援にスタジアムまで足繁く通っていたという。今でも、ご実家にはたくさんのマリノスグッズが保管してあるそうだ。

「実家のダンボールの中身をひっくり返して、過去に集めたグッズをざっと見直しました。『小さい頃の私のような、家族でスタジアムに足を運ぶファミリーサポーターには何が刺さるのだろう?』などと問いかけながら、グッズのアイデアを出していったのです。

 もちろんマーケティングリサーチで分析を重ねた上で商品開発する方法もあるので、こうした担当者の“直感”に頼るようなやり方が必ずしも正解だとは思いません。でも、まずは一人のファンとして『どういうグッズがあったら嬉しいだろう』と想像してみることが、ものづくりのスタートには必要だと考えました」(眞道氏)

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この記事の著者

LIFT合同会社 代表取締役 岡田吉弘(オカダ ヨシヒロ)

広告代理店、GoogleにてSEM黎明期から一貫してアカウントマネジメントの現場を主導し、最大手からスタートアップまで幅広く運用型広告の啓蒙・拡販に従事。アタラ合同会社、アナグラム株式会社、フィードフォースグループ株式会社、株式会社リワイア等の役員を経て、現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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