過去最大の経営危機 乗り越えられた理由は販路の分散
ビィ・フォアードは現在、アフリカ南部に位置するジンバブエを最大の輸出国としながらも、展開先を拡大し続けている。創業時の売上の割合はアフリカ経由が100%だったが、この10年で約50%にまで減少。残りの約50%を北米やヨーロッパ、アジアなどが占めるようになった。展開地域の拡大の背景は、2015年のチャイナ・ショックによる影響だという。
「資源が豊かなアフリカの国々は、採掘された鉱物の多くを中国に輸出して利益を得ていました。しかし、2015年に中国経済が低迷し輸出量が激減したため、アフリカの経済状態も停滞したのです。当時アフリカをメインに事業展開していた当社の売上も大きく落ち、過去最大の経営危機に陥りました。思ったとおりにいかないのが越境ECだと実感しましたね」
ビィ・フォアードは主に米ドルで取引を行う。現地通貨の為替レートの変動によって、各国の顧客の購買力が左右される。当然、その影響は同社の売上にもおよぶ。
「チャイナ・ショック以外にも、紛争や大統領選、地震・洪水などの災害と、越境ECでは様々な外的要因が売上に影響します。先進国であれば、当社が計画どおりに事業を展開し成果を得られる可能性はありますが、ほとんどの場合、一筋縄ではいかないでしょう。今までの経験から、継続的に事業を運営する重要な要素の一つとしてアプローチする地域を増やしてきました」
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一方、着実に展開地域を拡大したことで、ビィ・フォアードは中古車販売以外の新たな事業を生み出した。それが、海外輸送サービス「ポチロジ」だ。個人・法人を問わず、大手の国際宅配便サービスに断られる可能性がある少量の荷物、大型・重量物を中心に海外輸送を行う。ビィ・フォアードが、中古車とあわせてポチロジで委託された荷物も輸送。これにより、他社より安価に輸送サービスを提供できる。時間をかけて整えてきた物流体制が、次のビジネスチャンスにつながった。
「お客様にとって、どうすれば便利になるだろう。この発想が、新しい事業を生むきっかけとなっています。お客様が求めるものを、求めるタイミングで提供する。ブランドメッセージである『BE FORWARD,GATEWAY TO THE WORLD(前へ、世界へ通じる扉がここに。)』を基本姿勢として、世界に通用するプラットフォームを目指します」
商売人の基本ともいえる顧客視点を軸に、ビィ・フォアードはこれから新規上場を目指す。