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2025年2月4日(火)13:00~18:45

EC動向定点観測~越境EC編~

越境ECは広告より先に「言語投資」が必須? 2025年に押さえておきたいページ改善、重点施策を紹介

 EC事業者が押さえておきたい最新動向を、ジャンル別にお届けする「定点観測」。越境EC編では、世界へボカン株式会社の徳田祐希氏が解説します。今回は、越境ECまわりの2024年の振り返りと、2025年に注力すべきポイントについてお届けします。

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IT導入補助金の制度変更 路頭に迷う越境EC再生の手立てはあるか

 2025年最初の定点観測は、まず2024年の振り返りから行っていこう。まず最大の変化は、経済産業省 中小企業庁が中小企業・小規模事業者向け支援策として行っている「IT導入補助金」の制度変更があり、ECサイト制作が補助金の対象から外れた点だ。

「これにより、『補助金が出るから』と甘い誘いに乗せられてとりあえず越境ECサイトを立ち上げた企業が路頭に迷うことになりました。当社への相談も増えています。

 話を聞くと、『支援』といいながらも形骸化した仕組みを提供している悪徳業者のようなケースもあり、越境ECを盛り上げていきたい身としては思うところもあります。『IT導入補助金をきっかけに越境ECを始めたがうまくいかない』と悩む方は、今一度課題や原因を紐解き、解決に向けた道筋を探ることをお勧めしたいです」

 さらに徳田氏は、「越境ECを始める動機に立ち返ってほしい」と続ける。たとえ踏み出すきっかけがIT導入補助金であったとしても、目的や届けたい顧客層などが言語化できていれば、マーケ施策の実施やコンサルティングによるテコ入れで改善の余地はある。しかし、「日本で売れているから海外でも売れるだろう」といったように見通しが甘かったり、「越境ECで再起を図りたい」と過度の期待を寄せたりしている場合は、期待値や認識の調整が必要だという。

「日本と海外では嗜好が違いますから、同じやり方で売れることはほぼないといって良いでしょう。国内での売上ベースで安易に海外進出を決めているのであれば、その戦略の根本から見直すべきだといえます。

 また、『日本で苦しい局面にあるが、市場を広げれば顧客が見つかるはずだ』という認識も間違いです。まずは自社のビジネスの原点に立ち返って国内事業を再生させ、売れる種を見つけてから海外進出を検討しましょう。苦しい中捻出した予算を、知見も勝算もないところに投下するよりも先に、やるべきことがあるはずです」

 では、越境ECを始めるにはどんなマインドをもっていると良いのだろうか。徳田氏は、「提供価値のグローバル化」「継続することを念頭に置く」「成果を急がない」といったポイントを挙げた。

「日本には、海外に出しても通用する商品やサービスがたくさん存在します。そう自負していても、これまでは金銭的ハードルで踏み切れなかった企業・ブランドに海外進出のきっかけを与えたという意味では、IT導入補助金は良い機会だったといえます。

 ただし、その意欲にリテラシーがまだ追いついていないのも事実です。また、越境ECは国内でのEC運営以上に成果が出るまでに時間がかかるため、粘り強さや継続性も欠かせません。実店舗を有するのであれば、たとえ頻度が少なくても来日時に必ず来てもらえるよう集客施策を行う、1回の来店で商品やサービスのファンになってもらえるような工夫を施す、帰国後のEC利用も含めたジャーニーを描くなど、チャネルの垣根を越えた取り組みが必要です。一つひとつの施策を着実に積み重ねていきましょう」

次のページ
運営する越境ECサイトの言語レベルは? 改善に向け意識したい三つの「ない」とは

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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