商品画像を1ミリ単位で調整 クリエイターに学ぶ細部へのこだわり
クリエイターに限らず、社外の人材とブランドを作り上げるには、関係性の構築が欠かせない。アダストリアでは、自社・クリエイター・ファンのそれぞれにメリットがある状態を目指している。そのために心がけているのが、スムーズなコミュニケーションだ。
「お互いに遠慮せず、ざっくばらんに意見を交換できる関係が理想的です。クリエイターの意向は尊重しながら、ブランドのリリースに向けて当社がもつ経験やノウハウを活用し商品イメージなどを提案します」(アダストリア・村岡氏)
カプコンも、Win-Winな関係作りを心がけている。奥山氏は「AND CHIPSを通じて、当社とクリエイター双方の成長を目指す」と語る。
「まずは、クリエイターと当社の夢や課題を明確にし、共創によってどう解決できるかを考えます。認知拡大が目的であれば、SNSでの情報発信によってお互いのファンにアプローチし合うなど、どちらにもメリットのある方法を探すのがポイントです」(カプコン・奥山氏)
クリエイターとの共創から様々な相乗効果を得ている2社だが、その中で新たな発見や気づきがあったという。村岡氏は「普段SNSに投稿する画像を丁寧に撮影しているクリエイターから、商品の見せ方を学んだ」と明かす。
「LEAD PROJECTが展開するブランドは自社ECサイトのみで販売しているため、お客様は購入まで実際の商品を手に取って確認できません。だからこそ、クリエイターたちは掲載する画像にこだわり、1ミリ単位で商品やモデルの位置を修正して作り込みます。同様に、商品も微修正を何度も重ねて開発するなど、細部の磨き込みが重要だと再認識しました」(アダストリア・村岡氏)
一方、カプコンの田中氏は「各ファンが自分なりの楽しみ方を見つけてSNSで発信している様子が新鮮だった」と振り返った。これまで取り扱ってきたゲームとは異なる分野でのチャレンジだからこそ、同社はファンの反応を見ながらブランド作りを進めている。
「立ち上げ当初から、SNSを中心に予想以上の反響がありました。現時点では、子どもの頃に当社のゲームをプレイした経験のあるファンが多く、思い出とともに感想を投稿している人もいます。今後はより若い年代に『おしゃれ』と手に取ってもらえるよう、新商品を発売する予定です」(カプコン・田中氏)