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100円ショップ「Watts」のECが伸びているワケ 実店舗を生かしたOMOで知名度とファン獲得へ

 100円ショップ「Watts」のEC事業が好調だ。OMOの実現を大きな目標に掲げ、全国に展開する実店舗とオンラインショップの連携を進めている。知名度の低さを課題にEC進出を決めた同ブランドは、どのようにしてファンを増やしているのか。株式会社ワッツ 事業戦略部 EC担当 高澤直樹氏に話を聞いた。

店舗受取する顧客の6割以上がついで買い

 1995年に大阪で誕生したワッツは、100円ショップ事業を全国に展開してきた。中でも「Watts」は、グループ全体で約1,800もの実店舗をもつ。そんな同社が、数年前よりオンラインチャネルの活用に注力している。2018年3月にWattsのInstagramアカウントを開設。2024年3月時点で、16.3万人以上のフォロワーを抱えるまでとなった。

Wattsのブランド知名度を調査したところ、競合他社と比較してかなり低いことがわかりました。オンライン上の露出を増やしたいと考えたのが、Instagramを始めたきっかけです」

Instagramアカウント
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 WattsがInstagramの投稿を続ける中で聞こえてきたのが、「オンラインでも商品を購入したい」という声だ。高澤氏は、「需要の高まりを感じ、テストも兼ねて2020年にオンラインショップをオープンした」と話す。

 現在は2万1,000SKU以上を取り扱うWattsのオンラインショップだが、当初の販売商品はInstagramで紹介していたものを中心に100アイテム程度。担当者が実店舗のバックヤードから在庫をピッキングし、自ら配送するなど、小規模なスタートだった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、状況が大きく変わる。

「オープンから約半年で、一気に利用者数が増加しました。マスクやウェットティッシュの需要が急激に高まり、売上が4倍となったのです。その後もしばらくは同じ状況が続くと予想し、EC事業に本腰を入れることにしました」

 取扱商品数を増やすため、Wattsは2021年9月にカートを移行し、オンラインショップをリニューアル。その後、新施策の実行を視野に、2023年9月にウェブ・ECサイト構築を支援する株式会社R6Bの協力のもと、Shopifyへ再びカートを移行した。

「2回目のカート移行は、実店舗との連携が大きな目的でした。店舗受取を必ず実現したかったからです。元々利用していたカートでも実現は可能でしたが、シミュレーションしたところ非常に高いコストが掛かるとわかりました。また、サーバーのキャパシティが小さいという懸念点もあったため、将来的な事業拡大を見据えて、早い段階でShopifyへの移行を決めたのです」

 Wattsは、2回目のサイトリニューアルとともに店舗受取サービスを開始。利用者数は、配送を上回る勢いで伸びている。それにともない、ECサイトと実店舗との相乗効果も見え始めた。アンケートの結果から、店舗受取に訪れた顧客の6割以上が実店舗で「ついで買い」すると明らかになったという。さらに、高澤氏は「3割弱が実店舗に初めて来店したお客様とわかり、非常に驚いた」と語る。

「認知拡大を目指してオンラインチャネルの活用を始めましたが、InstagramからECサイト、そして実店舗と、Wattsを知ってくださる良い流れが生まれつつあります」

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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