EC業界の裾野の広さを痛感 「EC女子」が集う場に行ってみた
「EC女子会」の存在を知ったのは、2023年の春。アルビオンの榊原氏へ取材をした日のことだった(当時公開した記事はこちら)。
榊原氏は取材前後に、「うちのEC担当者もほぼ女性なんだけど、イベント登壇やメディア露出で前に出てくるのは男性ばかりだよね」といったことを話していたと記憶している。さらには「お買い物の楽しさを知っている女性ももっと活躍してほしいよね」と。
確かに、コロナ禍以前からEC市場が拡大していたのは、アパレル・コスメなど主に女性の消費が中心とされる領域だ。しかし、こうした企業・ブランドもEC担当を務めたり、「EC事業部」のような組織を束ねたりする面々は、男性であるケースが多い。ECzineの読者も男性の割合が現状は多く、「女性の登場が増えたら、読者の割合も変わるだろうか」と全員女性で構成されるECzine編集部の会議で、議題にあがることもある。
リーダー層がまだいないだけなのか、表に出たがらない人がほとんどなのか、物理的に人口が少ないのか……そんなことを日々考えていたのだが、2023年11月28日、6回目の開催となる「EC女子会」の会場に足を運んだ瞬間に、私は思わず榊原氏にこう伝えてしまった。
「本当にこれ全員EC業界の人ですか? EC女子、めっちゃいるじゃないですか」
この日の参加者は、36名。もちろん全員女性だ。事業会社、支援会社に属する人や自らブランドを立ち上げた人、運営するチャネルは自社EC、モール、肩書は俗にいう「EC担当」からディレクター、Webデザイナー、バイヤー、MD、カスタマーサービスと多岐にわたっていたが、全員が「EC運営に携わる人」。「まだ全然EC業界の人と知り合えてなかったな」と反省しつつ、EC業界の裾野の広さを痛感した。
参加者の声から実現 木村石鹸工業のトークセッション
この日の勉強会は、木村石鹸工業株式会社 代表取締役社長 木村祥一郎氏と榊原氏によるトークセッション。前回のEC女子会で「好きな自社ECサイト」の話になった際に、参加者の多くが同社の「くらしの丁度品店」をあげたことから、榊原氏がオファーしたそう。
約1時間のセッションは、木村氏のこれまでの経歴や木村石鹸工業の商品づくりに対する想い、現在の組織構成や会社運営において意識していること、社員への権限委譲についての考え方など、参加者から寄せられた質問をもとに進められた。
こうして見ると「EC女子会」といいつつ、登壇者はどちらも男性なのが惜しいところともいえるが、このあたりは回を重ねるごとに改善されていくのだろう。実際、初回から4回目までの「EC女子会」はいわゆる「飲み会」だったが、参加者からの要望を踏まえ、学びを得るコンテンツを用意するようになったという。学びや情報交換を経て、「EC女子」自身が頭角を現し、登壇者やモデレーターになっていく。もしかしたら、榊原氏はそういったところにも期待しているのかもしれない。