2日間で1.1万人が参加 遊び心も見られた「Google Cloud Next Tokyo」
Googleの取り組みや、Google Cloudの最新ソリューションの紹介、そして日本企業を中心に多くのユースケースが紹介される「Google Cloud Next Tokyo」。2024年は、8月1日・2日に開催されました。2日間の累計来場者数は1万1,000人以上。私は1日目のお昼ごろに会場に到着したのですが、セッション間の移動や展示ブースを回遊する人々であふれかえり、活況ぶりを体感しました。
私が展示エリアに足を踏み入れたのは、ちょうど初日の基調講演でGeminiアプリのGoogle Workspace向け拡張機能(ベータ版)搭載が発表された直後。Geminiが、GmailやGoogleドライブ、Googleドキュメントで保有・共有するファイルをデータソースとして参照し、日常業務の効率化に貢献する同機能を体感できるブースには人だかりが。その利便性をこの目で確かめたいとたくさんの人が集まっていました。
製品・サービスの展示やデモの体験スペースだけでなく、Google Cloudや同イベントのロゴをあしらった特製ネイルシールの施術が受けられるブースも活況だったのが印象的な同イベント。単に学びを深める場としてだけでなく、こうした遊び心ある余白を残しているのも“Googleらしさ”といえるのではないでしょうか。
7割の製品で需要予測が使えると判断 ライオンの事例紹介
肝心なセッションですが、私はライオン株式会社のセッション「競争環境の変化に適応!Google Cloudで実現するLION流需要予測と生成AI活用」と、株式会社出前館のセッション「サイト内の検索コストを大幅削減!日本最大級のデリバリーサービス『出前館』にVertex AI Searchを導入した話」の2つを聴講しました。
いずれもカテゴリーは「AIと機械学習」に分類されるもの。ライオンはBigQueryやCloud Storage、Vertex AI WorkbenchとBIツールを連携して需要予測を実施し、変化に迅速に対応する様子を紹介していました。
特に興味深かったのは、「商品重要度」と「モデル精度」を軸にカテゴリーごとの立ち位置を可視化し、需要予測モデルの活用方針を定めていった点です。その結果、「関係部門間で合意した数値のGAP把握と週次監視に使用」「需要予測に任せ、業務効率化」「需要予測は活用しない」の3つのカテゴリーに分けることができ、全製品の約7割に需要予測値が活用できる見通しが立ったと説明していました。
こうした新たな施策に取り組む際、大切なのは「影響範囲の可視化」と「実行領域の絞り込み」です。特にライオンのように多くのカテゴリー、製品を扱うメーカーの場合、ただ漠然と「需要予測をしよう」と取り掛かってしまうと、膨大な工数を要するだけでなく、相性の良しあしによって、評価すべき成果やそこから得るべき本当の示唆が見え隠れしてしまう恐れもあります。
事前に適用カテゴリーを可視化し、方針を定めた上で施策へと落とし込む。これまで人の勘や慣習に頼ってきたものを、環境変化に応じてアップデートしようとするライオンの姿勢は、DXを進める上での理想形の一つだと感じました。