EC売上を後押しするeギフト
スープストックトーキョーは、食べるスープをコンセプトにしたスープ専門店「Soup Stock Tokyo」を展開している。全国に64店舗ある実店舗は、駅の中に立地しているケースも多く、看板を見かけたことがある読者も少なくないだろう。
そんな同社のビジネスは、「1つの疑問から始まった」と斎藤氏は語る。
「ファストフードの本来の意味は、『クイックに提供される食事』です。ところが、最近では『食べ続けると健康を害する』『質が良くない』など悪いイメージがつきまとっていることに、疑問を抱いていました。当社は、食や商品、サービスが持つ本来の価値や機能に立ち返りたいと考えています」
創業以来、実店舗を中心に事業展開してきた同ブランド。近年はEC事業にも注力しており、個食包装した「冷凍スープ」を自社ECサイトおよび大手ECモールで販売している。コロナ禍でEC事業が大きく伸長した一方、2022年度は実店舗売上の回復とともにEC売上は微減。それでも、コロナ禍以前の2019年度と比較して、約229%の売上を記録したという。
同ブランドのEC事業の特徴は、ギフト利用の割合が非常に高く、60%以上を占める点にある。しかし、「ギフト購入には複数の課題が存在していた」と齋藤氏は振り返る。
「相手の住所がわからない、冷蔵庫の空きスペースの有無やクール便の受取可能日時がわからないといった意見がお客様から届いていました。これらを解消するために導入したのが、eギフトです」
eギフトは、商品購入時に発行されるURLをオンライン上で送ることで、相手自身が都合の良い日時を選んで商品を受け取れるサービスだ。メッセージカードなども追加できる。
Soup Stock Tokyoは、eギフトを2023年4月に導入した。2023年の5〜8月には、月間受注件数の約10%がeギフトからだった。そのうちの約40%が、出産祝いに関連するセットの注文。フォーマルな贈り物よりも、主に知人・友人間でのカジュアルギフトとして利用されている。顧客からは、「eギフトだと住所を聞く手間が省ける」「便利」といった機能面での評価を得ている。