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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

勝つD2C 注目ブランド大研究

200件以上の電話で製造ネットワークを構築 「koyoi」が見つけたアナログな業界での戦い方

 低アルコールのクラフトカクテルを販売する「koyoi」が、酒類業界で存在感を放っている。業界慣例とは異なるD2Cモデルからスタートし、小売店舗へも販路を広げている。まだまだアナログといえる酒類業界で、どう戦っていくのだろうか。

広告費が回収できず販売後3ヵ月で方向転換

 酒類業界には、古くより多くのメーカーやブランドがひしめき合っている。そこへ2021年9月、度数3%程度の低アルコールクラフトカクテルを扱うD2Cブランドとして「koyoi」は誕生した。

koyoi

 販売開始からまだ1年半ほどだが、運営元である株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵氏は、これまで複数のメディアに取り上げられている。業界注目の新興ブランドといえよう。

 同社がアルコール飲料市場への参入を決めたのは、2020年10月。当時の社員は石根氏のみだった。スタートアップらしいスピード感を武器に、チーム体制を整えながら1年足らずで販売開始にこぎつけた。

 ブランド立ち上げに当たって石根氏がぶつかった壁が、商品の製造だ。酒類業界のバックグラウンドも人脈もなかった石根氏は、酒造メーカーへゼロからアプローチするしかなかった。製造に協力してくれる酒造メーカーを見つけるまでに、石根氏は200件以上も電話をかけたという。

「電話で話を持ち掛けても、基本的には断られます。『ECでお酒は売れないからやめたほうが良い』と勧められたこともあります。しかし、中にはデジタルを駆使した販売方法に興味を持ってくれる酒造メーカーが数件あり、製造先が確保できました」

株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵氏
株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵氏

 製造の協力先を見つけ、商品ができあがったのが2021年4月。それから5ヵ月で開発を進め、自社ECを開設した。しかし、その後も発売からの1年間は苦しい戦いを強いられた。当初の販売形態がその要因だった。

 元々koyoiは、毎月3本のカクテルが届くというサブスクリプションモデルを軸とし、それに合わせてウェブ広告に投資していた。ところが、実際には単品で購入する顧客が圧倒的に多かったのだ。そのためkoyoiでは、石根氏が想定していたよりも、投下した広告費が回収できないでいた。

 販売しても利益が出ない。この状況を受け、販売開始から3ヵ月後の2021年12月、石根氏は持ち前の行動力で戦略を大きく転換。時間はかかるが、ウェブ広告に頼らずブランドの作り込みとSNS活用で戦うことにした。

「顧客が憧れるようなブランドに育て、オーガニックの流入を獲得していく必要がありました。そのため、koyoiのビジュアルを活かしたSNSで情報を発信。また、ウェブ広告以外でメディア露出の機会があれば大小問わず引き受け、ブランドストーリーを自分の口で語るようにしたのです。少しずつではありますが、この1年間で認知の広がりを実感しています」

 特にkoyoiの名前が知られるようになったきっかけともいえるのが、2022年11月29日に放送された関西テレビ放送の番組「7RULES (セブンルール)」だ。石根氏は、「『テレビ出演なんてホームランではないか』と思うかもしれないが、決してそうではない」と語る。同番組の出演にたどり着くまでに、1年で100件以上のメディア露出を重ねてきたからだ。我慢強く時間をかける、石根氏の地道な戦略が花開いた瞬間だった。

【ウェビナー】koyoiのオフライン戦略まで聞ける夏のECzine Day

2023年6月14日(水)開催のウェビナー「ECzine Day 2023 Summer」に、石根氏が登壇します。オフラインへ販路を展開する際の考え方など、本記事では語られていない戦略まで公開。D2C事業者必見のセッションとなっています。下記のリンクよりぜひお申し込みください。

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/12823 2023/06/01 07:00

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