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季刊ECzine vol.24定点観測

ビジネスサイドのデータ分析が生む 差がつくCRM施策のアイデア

 EC事業者がおさえておきたい13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。プラスアルファ・コンサルティングの高木さんに、CRMについて聞きました。※本記事は、2023年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.24』に掲載したものです。

鉄板CRM施策では差がつかない ローデータまで掘り下げよう

 D2Cブームやコロナ禍で増加したECへの参入。順調に成長しているなら、そろそろCRMに本腰を入れたいと考える時期ではないだろうか。

「ここ2、3年で新たにECに取り組まれた事業者様からご相談をいただく機会が増えました。従来、販売には直接携わらなかった大手メーカー企業様もD2Cとして参入し、プロジェクト発足の段階から、当社のCRM/MAツールであるカスタマーリングスをご導入いただく場合もあります。 CPO(Cost Per Order)やLTVといったKPIの計測などCRMの基本的なお作法については、情報が出回っていることもあり、多くの方がご理解されているとの印象です」

 ECにおける継続して購入してもらうことの重要性、それを踏まえ広告費を含めた販促計画を立てるべきであるとの情報はネット上にも溢れている。そのような状況下で、CRM、ひいてはECビジネスを順調に継続できる事業者とそうでない事業者が出てくるのは、どこに違いがあるのだろうか。

「もう一歩進んだ施策を打ったり、響くメッセージを作り出すことが必要です。一般的なKPIの計測だけでなく、ローデータに近いところまで掘り下げて分析する習慣をお持ちだとそれができる傾向にあります。ユーザー企業様とは定期的にお打ち合わせをさせていただきますが、ローデータの分析まで踏み込むと『こんなふうにお買い物をされるお客様がいらっしゃるんだ』『以前も実施したこの取り組みはこの時期にまた効くんじゃないか』といった発想が次々と出てくるようです。施策アイデアが枯渇せず健全なPCDAサイクルを回し、成長につなげることができています。基本的な型はおさえた上で、その型を超えていこうとの姿勢なしに他社との差別化までは難しいのではないでしょうか」

 データ分析は得意不得意が分かれがちな分野だ。CRMから少し話が外れるが、Google アナリティクス4への切り替えを見ても、担当者の姿勢に差がついている。

「CRM/MAツールも同様です。多くの企業様にご利用いただけるようパッケージとしてご提供している以上、ある1社様にだけ完璧な仕様にするのは難しいところがあります。もちろんご要望が多い改修は対応するのですが、ツールが自社にとって完璧にカスタマイズされるのを待つよりも、できるところから始めたり運用で補ったりするほうが、早く成果が得られます。スクラッチでないからにはどこかであきらめが必要になる。あきらめることができるのは、自社で提供している価値やビジネスの根幹が明確で、他の部分は妥協する判断ができるからです」

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