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おさえておきたいEC・通販先進企業

「無印良品」ブランドを誇る良品計画が目指す「感じの良いオンラインの提供」とは


 「無印良品」を展開する株式会社良品計画は、ほかにもカフェ・ミール事業やキャンプ事業、住空間事業なども展開しています。世界32の国や地域へも展開もしており、世界中で人気です。今回は、同社の取り組みについて、事業内容やビジネスモデルと併せて解説します。

 株式会社良品計画は、「無印良品」ブランドで国内外ともに大きな成長を遂げている企業です。「無印良品」ブランドを中心に、カフェ・ミール事業やキャンプ事業、住空間事業なども幅広く展開しています。ECストア「無印良品ネットストア」や会員アプリ「MUJI passport」など、消費者とのオンライン接点に力を入れていることも特徴です。

 この記事では、同社の事業内容やビジネスモデル、事業の強み、最近の取り組みについて解説します。

株式会社良品計画の企業情報・事業内容の概要

 まずは、株式会社良品計画の基本的な企業情報を確認しておきましょう。

株式会社良品計画の企業情報

 株式会社良品計画の基本的な企業情報は、次の表のとおりです。

社名 株式会社良品計画
本社所在地 東京都豊島区東池袋4-26-3
設立年月 1989年6月
代表者名

代表取締役会長 金井 政明

代表取締役社長 堂前 宣夫

株式公開 東証プライム市場上場
資本金 67億6,625万円
おもなグループ会社

株式会社 MUJI HOUSE

MUJI(HONG KONG)CO., LTD.

MUJI Korea Co., Ltd. など

株式会社良品計画の事業内容

 株式会社良品計画の事業内容は、大きく以下の5つに分かれます。

  • 無印良品事業
  • カフェ・ミール事業
  • キャンプ事業
  • 住空間事業
  • IDÉE(オリジナル家具や雑貨などの物販)

無印良品事業

 無印良品事業は、良品計画の主力となる事業です。無印良品事業のブランドである「無印良品」は、「わけあって、安い。」をキャッチコピーに1980年に生まれました。シンプルでありながら高い機能性を重視し、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つの視点を守りながら商品をつくり続けていることが特徴です。

 1983年に1号店を東京の青山に出店し、現在では国内外で1,000店舗以上を展開しています。商品点数も約7,000品目と多岐にわたっており、商品力の高さがうかがえます。

 無印良品事業では、店舗環境の向上や接客力の強化など、来店するお客様が快適にお買い物を楽しめる空間の提供を目指して取り組んでいます。

カフェ・ミール事業

 カフェ・ミール事業は、主力ブランドである無印良品のカフェを展開している事業です。無印良品の世界観に合わせて、「素の食」をテーマに野菜を使ったメニューを中心に提供しています。

 季節の素材やこだわりの食材を豊富に使っていることが特徴であり、からだの健康とおいしさを兼ね備えた料理やデザート、ドリンクを開発し続けています。

キャンプ事業

 キャンプ事業では、「過剰なサービスは省きましたが、自然は豊かです。」をスローガンに掲げ、以下の3つの拠点でキャンプ場を運営しています。

  • 津南キャンプ場(新潟県津南町)
  • 南乗鞍キャンプ場(岐阜県高山市)
  • カンパーニャ嬬恋キャンプ場(群馬県嬬恋村)

 3ヶ所を合わせて約70万坪もの森林を管理するとともに、アウトドア教室も実施しており、周辺地域に根ざした運営を行っています。

住空間事業

 住空間事業は、グループ企業である株式会社MUJI HOUSEが行っている事業です。「くらし」を提案する無印良品事業に対し、住空間事業ではくらしの器となる「家」を提案しています。

 安全性を考慮した外部設計と柔軟性を考慮した内部設計に分けて家を設計することで、家族構成やライフスタイルの変化に合わせて自由に間取りを変えられる家を提供している点が同事業の特徴です。2006年には「木の家」でグッドデザイン賞を受賞し、2008年には「窓の家」でグッドデザイン賞金賞を受賞するなど、優れた実績も有しています。

IDÉE(オリジナル家具や雑貨などの物販)

 IDÉE(イデー)は、オリジナル家具や雑貨、アンティーク、カーテン、ラグなど、おもに物販を展開している事業です。加えて、空間プロデュースやコンサルティング、デザイン業務も行っています。

 ほかにも、グリーン関連ビジネスなどの事業展開も実施しており、総合的なライフスタイル提案を目指した事業であるといえるでしょう。

株式会社良品計画の沿革

 次の表では、株式会社良品計画のおもな沿革をまとめています。

年月 沿革
1980年12月 株式会社西友のプライベートブランドとして「無印良品」誕生
1983年6月 青山に直営1号店「無印良品青山」出店
1989年6月 株式会社良品計画設立
1990年3月 株式会社西友から「無印良品」の営業権譲譲渡、直営店開始
1991年7月 ロンドンに「MUJI」1号店出店(英リバティ社とパートナーシップ契約)
1997年8月 ISO9001認証取得
2000年8月 東証第一部上場
2000年9月 オンラインショップ「無印良品 ネットストア」開始
2016年8月 日本の小売業として初めてインドに出店
2022年4月 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

 「無印良品」は、1980年に株式会社西友のプライベートブランドとして誕生しました。その後1989年に株式会社良品計画が設立され、西友から「無印良品」の営業権譲を受ける形で直営店としての展開が始まっています。

 1997年にはISO9001認証を取得するなど、品質管理にしっかりと力を入れていることがうかがえます。2000年には東証第一部に上場し、オンラインショップ「無印良品 ネットストア」を開始するなど、大きく事業成長していることがわかるでしょう。

株式会社良品計画の強みや特徴

 続いて、株式会社良品計画の強みや特徴を解説します。

株式会社良品計画のビジネスモデル

 株式会社良品計画のビジネスモデルは、生活雑貨の製造小売業(SPA)です。製造小売業(SPA)とは、商品の企画や開発、生産、販売までをまとめて実施するビジネスモデルであり、おもにアパレルなどのファッション業界で適用されています。

 良品計画は、この製造小売業(SPA)を生活雑貨に当てはめ、「無印良品」ブランドを構築しました。世界的に見てもユニークなビジネスモデルであるといえるでしょう。

 また、キャッチコピーとして掲げている「わけあって、安い。」は、「安かろう悪かろう」という意味ではありません。「不必要なものを削りながら、品質は絶対に落とさない。100%の品質で他社の商品より3割安い」というコンセプトを重視し、これまで大きな成長を遂げてきました。

株式会社良品計画の事業の強み

 株式会社良品計画の事業のおもな強みとしては、以下の3つが考えられます。

  • 一目でわかる無印良品のデザイン
  • 世界32の国や地域へのグローバル展開
  • 約7,000万のMUJI passportアプリダウンロード数

 まず、「無印良品」であることが一目でわかるシンプルなデザインは、同社の強みであるといえるでしょう。品質を保ちつつ無駄をなくす無印良品のコンセプトとデザインの世界観がうまく合致しており、消費者がすぐに無印良品の特徴を想起できるものになっています。

 また、日本国内だけでなく世界32の国や地域へのグローバル展開を行っていることも強みです。シンプルかつ機能的な商品は、国や地域の慣習に左右されにくいため、グローバル市場でも成功しやすいと考えられます。

 さらに、国内外で1,000を超える実店舗だけでなく、アプリやECなど、オンラインでの顧客体験の提供に力を入れている点も強みです。MUJI passportアプリのダウンロード数が約7,000万となっていることからも、多くの消費者との接点を構築しているといえるでしょう。

株式会社良品計画の最近の取り組み

 ここでは、株式会社良品計画の最近の取り組みをいくつか紹介します。

「500円以下」のコンビニ型店舗を出店

 株式会社良品計画は、日用品など500円以下の商品を中心に取り扱うコンビニ型店舗「無印良品 500」を多店舗化していく方針を発表しました。2022年9月30日に、1号店となるコンビニ型店舗をJR三鷹駅構内に開店しています。

 日常生活を送るうえで不可欠な日用品などを多く取そろえることで、消費者の来店頻度を高めることが狙いです。

ホンダと提携して中国で電動自転車を販売

 株式会社良品計画は、電動自転車の「素-MS01」をホンダ(本田技研工業株式会社)と共同で開発しています。2022年7月から、ホンダの中国の製造・販売合弁会社である新大洲ホンダが中国市場で販売を開始しました。

 電動自転車の製造工程のなかで、おもに車両デザインの部分を良品計画(MUJI上海のデザインチーム)が担当しています。現在のところ日本での販売予定はありませんが、将来的には日本国内でも販売される可能性はあるでしょう。

原材料高騰や円安進行による輸入コスト増を背景に、2023年より商品を値上げ

 2022年12月26日株式会社良品計画は、原材料高騰や円安進行による輸入コスト増を背景に、2023年1月以降、商品とEC配送料を値上げすることを発表しました。

 値上げ発表の翌日、株式市場では収益改善を期待した買いが集まり、同社の株価が一時約7%高となるなど、採算意識の向上として好感を持って捉えられたほか、「ファンの根強い人気に支えられ、値上げは受け入れられるだろう」といった声も聞かれました。

株式会社良品計画の気になるトピックス

 そのほか、株式会社良品計画の気になるトピックスを紹介します。

2023年8月25日:9/1(金)無印良品、「ZOZOTOWN」での販売スタートのお知らせ

 良品計画は、ZOZOと販売委託契約を締結した。2023年9月1日(金)正午よりZOZOが運営するファッションEC「ZOZOTOWN」において無印良品の販売を開始する。

2023年7月26日:本社移転に関するお知らせ

 良品計画は、2024 年 2 月(予定)に本社を移転した。

2023年4月17日:4/17(月)~ ネットストアで取り扱う衣生食の全カテゴリーが店舗受け取り可能に

 良品計画は、4月17日より「ネット注文店舗受け取りサービス」の対象アイテムに、インスタント・レトルト・菓子・飲料などを含む食品を追加した。これにより、現在ネットストアで販売中の衣料品、生活雑貨、食品の全カテゴリーが対象となり、9割以上の商品が店舗で受け取り可能となった。

2023年4月3日:4/5(水)無印良品 環境に配慮した紙製食器とカトラリーを新発売

 良品計画は、バガスパルプと竹パルプを使用した紙製食器5アイテムと、竹材を使ったカトラリー3アイテムを4月5日(水)から全国の無印良品とネットストアで発売開始した。

2023年3月17日:良品計画、「諸国良品」サイトで「おてつたび」利用生産者の農産物取り扱い開始

 良品計画は、旅をしながら地域産業のお手伝いをするマッチングサイト『おてつたび』を運営する株式会社おてつたびと連携し、おてつたびを利用する生産者の農産物を無印良品ECサイト内の産直ページ「諸国良品」で3月より販売を開始した。

2023年1月13日:大日本印刷・武蔵野美術大学・良品計画が共創イベント「つながる楽しい楽市」を開催

大日本印刷、武蔵野美術大学、良品計画は、3者の活動拠点がある東京・市谷地域の魅力再発見やさらなる活性化を目指し、産学共創の取り組みを開始。

2022年9月29日:9/29~食品・超重量商品以外すべての商品がネット注文店舗受け取り可能に

良品計画は、2022年9月29日より「ネット注文店舗受け取りサービス」の対象アイテムを大幅拡大。新たに家具家電などの大型商品約500点を追加することにより、食品・超重量商品以外すべての商品を無印良品のネットストアで注文し、店舗で受け取ることができるようにした。

2022年9月13日:良品計画とAirbnb、包括連携協定を締結

良品計画は、Airbnbの日本法人と共同で全国の遊休不動産のプロデュースを行い、日本の宿泊施設の多様化と地域のにぎわいづくりに寄与することを目的に包括連携協定を締結した。

2022年4月28日:良品計画とローソン、全国のローソン店舗への「無印良品」展開開始

良品計画は、株式会社ローソンと共同し、2022年5月2日からローソン店舗への「無印良品」の本格導入を開始した。

まとめ

 株式会社良品計画は、「無印良品」を主力ブランドとして展開している企業です。日本国内だけでなく、世界32の国や地域へのグローバル展開も行っていることから、世界中のファンから根強い人気を獲得しているブランドだといえるでしょう。

 良品計画は実店舗だけでなく、ECストア「無印良品ネットストア」や会員アプリ「MUJI passport」など、オンラインでの顧客接点も強化しています。

 同社は2030年に向けて「感じの良いオンラインの提供」を目指しており、食品・超重量商品以外のすべての商品をネット注文・店舗受け取り可能にするなど、オフラインとオンラインを融合させた成長を図っている企業といえるでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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