変則的な時代に着たいと思う服を作る
2019年3月に始動したアパレルブランド「MAISON SPECIAL」が、2022年3月~2023年2月の通期で35億円の売上を見込んでいる。日本国内に9つの実店舗を構える一方、EC化率はブランド立ち上げ時から現在(2023年2月末)まで、モールと自社ECを合わせて50%を超えている。2023年3月11日には、10店舗めとなるMAISON SPECIAL MENS大阪店が出店される予定だ。
運営元であるPLAY PRODUCT STUDIOの福田さんは、ブランドの強みとして真っ先に「商品」を挙げた。視覚的にインパクトのある商品が、ファッション感度の高い消費者に刺さっているのだという。

「ブランドの立ち上げ後、1年ほどでコロナ禍に突入したのですが、売上への影響はあまり出ませんでした。その理由は『こんな時代だからこそファッションだけでも楽しみたい』という本音が、消費者の中にあったからでしょう。
対面で人と会うことができない時期に、SNSは重要なコミュニケーションツールかつ自己表現の場となりました。とくにファッションに敏感な消費者は、コロナ禍における閉塞感の反動で、おしゃれな服を着て写真を投稿したいという気持ちがあったはず。それが、MAISON SPECIALというビジュアルを強みにしたブランドと合致したのだと思います」(福田さん)

福田さんらブランド運営陣はMAISON SPECIALを、「一度ハマると中毒性も高い」と表現する。商品のビジュアルに加え、購入した顧客が自然と別の商品に手を伸ばしたくなる仕掛けがあるからだ。
「個性の強い商品だからこそ、ほかのブランドの服と合わせることが難しい場合もあります。裏を返せば、一度買うとMAISON SPECIALでコーディネートを組みたくなるということです。たとえばメンズのトップスであれば、大幅にビッグシルエットのデザインが多いです。そのサイズに合ったアウターを探しても、ほかのブランドではなかなか見つけることができません。無理に押しつけるのではなく、『MAISON SPECIALのトップスならMAISON SPECIALのアウターが合う』と、顧客自身が認識してリピーターになってくれるのです」(福田さん)
